快速「SLやまぐち なにわ号」グリーン券

前回記事で2017年9月の車両置き換えで新たにグリーン車を連結するようになったと書きましたが、それ以前に「SLやまぐち号」グリーン車が皆無だったかというとそういうことはなく、通常の車両とは異なる車両の場合グリーン車扱いで運行されることがありました。
今回はそのうちのひとつ「SLやまぐち なにわ号」です。

列車名のとおり、「サロンカーなにわ」を使用した「SLやまぐち号」で、2008年に運転されたときは「SLやまぐちDX号」として運行されていましたが、2010年は「SLやまぐち なにわ号」として運行されました。おそらく2010年は「サロンカーなにわ」のほか「あすか」も使用した「SLやまぐち号」が運転されたためと思われます。
「サロンカーなにわ」自体は2024年時点でも現役ですが、「SLやまぐち号」に使用されたのは現時点ではこの2010年が最後となっています。

全車グリーン車のスペシャルトレイン

サロンカーなにわ
津和野駅に留置されている「サロンカーなにわ」山口線で使用するときは所定7両から1両減車の6両で運行。

今回乗車したのは津和野->新山口の上りとなります。「サロンカーなにわ」自体乗車するのは2度目ですが、前回乗車は25年以上前(笑)

ただ、内装とかはきっちり覚えていました。当時とは塗装が変わっていますが、車体のイメージそのものは昭和の時代から変わっていません。編成の前後をガラス張りの展望室にするスタイルは、同時期に登場した「サロンエクスプレス東京」と並んで以降のジョイフルトレインのスタンダードとなっています。

津和野駅で発車を待つ
津和野駅で発車を待つ「SLやまぐち なにわ号」ホーム長の関係で先頭写真が撮れないのが残念。

津和野発は、先頭がC57、そして後方からC56が後押しするいわゆるプッシュプル運転となっています。
ただ、編成が6両ということで通常より1両長いため、機関車先頭からのスナップが撮れず、お預けに。SLは乗るより撮ると言う人がいますが、なんとなくわかる気がします。
ただ、やっぱり通常と違う車両の運行は注目度が高いです。

後部のC56
後部で後押しするC56。新山口行きは客車をSLで前後でサンドイッチするプッシュプル運行でした。
C56
後部展望室からは、C56の前面がデンと構えます。これはこれで面白い。

最後部にはC56がスタンバイ。後ろから後押しする姿です。このため後部展望が犠牲にはなっているものの、展望室から機関車のお面がデンと鎮座する姿は結構楽しいです。

座席
車内は2+1のリクライニングシートが並びます。座席の意匠やレースの枕カバーなどがバブル時代を彷彿とさせます。

客室は1+2の側廊下タイプのシート。座席は360度回転が可能で6人で向かい合わせにして使用することも可能です。
ゴールドのメッキが使われていたり、窓枠が大理石だったり枕カバーがレース地だったりとバブル期の意匠がそこかしこに残っており、一種なつかしささえ覚えます。

1号車
ラウンジ兼展望車。1号車はラウンジ兼展望車。カウンターではビュッフェの営業はさすがに行っておらず、車内販売の基地となっていました。

1、6号車には展望室が。特に1号車はラウンジを兼ねた全室展望車となり、本来ならばカウンターで軽食などが提供されているのですがこのときは非営業。車内販売の基地として使われていました。
ただ、展望室はずっと同じ人が占拠していたようで、お世辞にもマナーはあまりよくなかったようです。

2010年当時はまだYouTuberという言葉はありませんでしたが、それでも展望室にカメラを固定して動画を撮っていた方はいました。

定刻に津和野を発車。流石に沿線は普段の「SLやまぐち号」とは比べ物にならないぐらいの人出でいっぱいです。
さて乗車した人が前面で撮影できる機会はというと篠目駅となります。

篠目駅
篠目駅で小休止中の「SLやまぐち なにわ号」専用のヘッドマークが掲げられていました。

もっとも篠目駅の停車時間は3分。大急ぎで撮影をし、大急ぎでも戻ります。ヘッドマークは専用のものが用意されましたが、山口県の県鳥であるナベヅルは健在。やっぱりSLやまぐちにナベヅルは欠かせないもののようです。

篠目を出ると勾配を降りていきますが、若干物足りなさが。そう、「サロンカーなにわ」は窓が開きません。
SLの醍醐味って、出発時に窓を開けて発車時の汽笛やドレンの水蒸気、そしてシュッツシュッと発車時のいかにも引っ張っているぞな感じが楽しいのですが、固定窓だとそれがあまり楽しめません。(その代わり空調は完璧ですが。)
改めてSLの旅には視覚と音が重要なんだなと思い知らされました。

湯田温泉を走るとMAX75km/hで爆走。他路線では見られないこの高速走行がSLやまぐちの醍醐味でもあるのですが、大型機であるC57はともかく、小型のC56にとっては限界いっぱいの走行でもあり、結果的にこれがC56 160号機の寿命を早めたような気もします。
どこでもカメラの砲列が絶えなかった「SLやまぐち なにわ号」ですが、定刻に新山口に到着しました。

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