スーパーはこね13号特急券

特急「スーパーはこね13号」特急券(展望席)

新宿から箱根湯本へは特急ロマンスカー「はこね」が運行されていますが、そのうち、新宿~小田原ノンストップの列車を「スーパーはこね」として運行されています。
最近「スーパーはこね」の運行は減少傾向にありますが、2023年現在も土休日のみ新宿発9時、10時で運行され、主に首都圏の観光客を箱根に運ぶのに特化しています。
当然ながら、最速列車も「スーパーはこね」となり、最速列車で新宿~小田原を59分で結びます。

今回の「スーパーはこね13号」は2018年に運行されたもので、新宿発10時10分発。やはり新宿~小田原間はノンストップでした。
車両は2023年12月で完全引退と報道された「VSE」50000系で、前面展望席を確保しています。

もともと前面展望席は小田急ロマンスカーでも人気の席で、特に昼間のVSEの前面展望席は発売と同時に売り切れるなどなかなか取れなかったため、なるべく閑散期を狙って確保しました。

「小田急らしくない」ロマンスカー

新宿駅に入線した「スーパーはこね」
新宿駅に入線した「スーパーはこね」。真っ白の車体はかなり目を引きます。

「VSE」50000系は真っ白な車体がまぶしい展望室を備えた小田急のフラッグシップ車両とも呼べる車両です。それまでの「EXE」を除くロマンスカーが、初代にあたる「SE」3000系のイメージを引き継ぐいまいちあかぬけない感じだった(逆に安定感があるともいう)のに対し、この車両が出たときはここまで変えるのか!と驚きをもってみました。
ただ、増備は2編成のみにとどまり、その人気とはうらはらになかなか扱いが難しい車両なんだな、というのも感じさせます。

全体に丸みをもったデザイン。また前面ガラスも1枚となっています。

ロマンスカーロゴ
側面のロマンスカーロゴ。
この部分は売店にあたります。車体の短さが目につきますが、これは連接構造によるもの。

車体は、「SE」3000系以来の伝統となる連接構造です。これは、連結器部分に台車を置くことで、乗り心地の改善等が図れるものです。ただし、構造が特殊で車体強度がいまいちになり、なおかつカーブの関係上車体を短くする必要があるため、路面電車以外での採用は割と少数となっています。(小田急以外では近鉄ビスタカー、JR東日本E331系など)

ただし、車体長が短くて車体強度がそこまで必要ではなく、かつ台車が減ることで低床化が図れることから路面電車では昔から多くに導入されており、江ノ電の全車両が該当するほか、広島電鉄の「グリーンライナー」が比較的有名です。

展望席
展望席はシートピッチがかなり広め。座席は固め。やはり前面展望席は今も昔も大人気。

展望席はやはりスペシャル感があります。
車体同様真っ白な曲線で成型された内装は非常に近未来的なもので、ある意味「小田急らしくない」もの。
でもやはり迫る景色と流れゆく景色は特筆もので、小田原までの1時間はあっという間です。

小田原からはぐっとスピードが落ち、場所によっては勾配区間もありますが、これから山に挑むぞ感を見せつけてそのまま箱根湯本に到着。小田原での下車は少なく、どちらかというとほとんどの客が箱根湯本まで乗り通していたように思えます。

内装。
中間車は、座席が全席やや窓側に向いているのが特徴。ムーディーな間接照明とあわせてVSEの特徴となりました。

中間車は通路側の座席も景色を見やすいように、座席がやや外側に向いて配置されているのが特徴です。
座席はシートピッチを広めにとって回転しても余裕のある作りです。

箱根に向けた「行楽特急」としてはほぼパーフェクトなつくりではあるのですが、日常で使う通勤特急としてはかなり装備過剰。窓向け座席は正直余計ですし、ゆっくり休みたい通勤客にとっては「EXE」30000系に比べて固めの座席はあまり好まれなかったようです。
このため、ロマンスカーで通勤客の比率が高くなった今日においては、「VSE」は使いどころに困った車両になったのではないかと思われます。
現存する小田急で唯一の連接台車を持つため、車両の長さを調整できないのはホームドア設置には不利になりますし、小田急らしくない車体もやはり扱いに困ったのではないかと思われます。
これが20年も経たずに廃車の憂き目にあった原因でもあったのではないでしょうか。

おそらく2023年12月の最終運行にはかなりの人出が見込まれるのではないかと思われます。

11/24の記事に続く)

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