青春18きっぷです。2025年冬季から大幅に形態が変わり、従来の1日分×5回分から、5日間連続になりました。同時に3日用も発売されています。今回はその3日用の「青春18きっぷ」です。
形態は「秋の秋の乗り放題パス」とほぼ同じ。ただし「秋の乗り放題パス」は7850円でしたが、青春18きっぷは同じ3日間で1万円となっています。

1日あたり3333円。しかもバラバラに使うことはできず3日連続なので、以前の「青春18きっぷ」とは全く違うものである、という発想の転換が必要なのではないでしょうか。名前が同じなので前のイメージに引っ張られてしまうのが難しいところですが。
従来はバラで使うことができたので1日単位でいくらと考えることが多かったですが、今回は3日連続して使う必要があるため、1日いくらと考えることはあまり意味を成さず、3日間トータルで考える必要があります。
そのあたりうまく考えないといけません。
じゃあ、10000円となると本州3社の幹線運賃で考えると・・・
- 片道641km以上
- 往復281km以上
となります。これを東京駅からの運賃で当てはめると
片道641km以上
姫路(山陽本線)
東能代(新潟・羽越線経由)
豊橋(東海道本線)
長野(中央本線、松本経由)
白石(東北本線)
原ノ町(常磐線)
東三条(上越線経由)
- 1日目:途中下車しながらのんびり移動
- 2日目:現地の足がわりのきっぷ
- 3日目:これまたゆっくりと帰宅
みたいな流れでしょうか。もっとも同一会社内だと似た効力のきっぷが存在していることがあり、
例えばJR東日本だと
- 「東日本のんびり旅パス」(3日間有効9000円)
- 「北海道&東日本パス」(7日間有効11530円)
JR東海だと
- 「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」(2日間有効8620円)
- 「JR東海☆夏の乗り放題きっぷ」(2日間有効3900円)
などが候補に挙がってきます。細かい効力の違いなどはありますが、自社内だとお得になることが多いです。結局のところ、改変後の青春18きっぷは
- 複数のJR会社にまたがる場合
- 比較的多い本数のところを300km~500km程度で往復する場合
- ひたすら乗り通したい場合
のいずれかを満たすときに出番が出てくるかも・・・しれません。
いずれにしても利用シーンは従来に比べるとかなり絞られそうではありますが、複数のJR会社にまたぐことができる数少ない割引きっぷではあるので、その際に検討に上がってきそうです。
例えば東京から大阪万博に見物を考えるとき、京阪神、特に大阪の宿は高騰しているので、一泊5000円程度で宿泊できる敦賀(福井県)あたりの宿を押さえて、
1日目に東京から適度に乗り降りしつつ敦賀泊、2日目に桜島往復して万博満喫、3日目に敦賀からやっぱり乗り降りしつつ東京帰宅というルートが考えられます。
敦賀から大阪まで新快速が直通しているため、万博宿泊で敦賀は穴場となっていますが、18きっぷのおかげで追加の足代がかかりません。
※ 今回はかなり記事と写真の分量が多めです。あらかじめご了承ください。
下灘から四国一周
今回青春18きっぷを検討したのは、やはり「JRまたがり」が大きく影響しています。
具体的には、
- 1日目は九州周遊、別府→八幡浜フェリー泊
- 2日目は四国周遊、徳島泊
- 3日目は徳島から岡山、中国山地縦断
というコース。四国を絡める場合は八幡浜~別府の宇和島運輸フェリー、神戸~高松のジャンボフェリーが宿がわりとなりつつ移動できるため、便利なのではないでしょうか。

1日目の九州は、トラブルがありつつもなんとか別府にたどり着き、最終バスで別府港着。ガラガラの2等船室のカーペットで一晩を過ごします。23:50分別府港を出航。別府から八幡浜までは約2時間半ですが、到着後5時までは船内休憩可なので到着後もしばらくはここで過ごします。
5時ごろに八幡浜港を出て八幡浜駅まで歩きます。徒歩約25分。5時半前には八幡浜駅に到着しました。
八幡浜5:42発の松山行きに乗車。キハ54+キハ32の3両編成です。
発車時点では真っ暗でしたが、伊予大洲あたりで明るくなり、伊予長浜でははっきり外が見えるようになりました。
朝もやの中、下灘駅に到着。下車したのは自分ひとりですが、車で先客がいました。さすが下灘駅。
あいにくの雨模様ではありますが、それはそれで風情があってよろしい。下灘駅訪問は多分10年ぶりぐらいかと思いますが、観光客の激増により、駐車場が増えたり店ができたりあちこちいろいろ手が加えられていました。
下灘駅は1998年から3年連続で青春18きっぷのポスターに採用されたことで知名度も急上昇。やっぱりこの駅訪問は青春18きっぷで来れたらいいなあ、とは思います。
もっとも25年以上前の「青春18きっぷ」の下灘駅ポスターのイメージから、今も大きくかけ離れることはありませんでした。往時のイメージを偲ばせるには十分です。
例えばぽつんとあるホーム上の屋根。長いベンチも含めて当時と大きくは変わりません。青春18きっぷのポスターの構図はあまり手を加えず、その他の部分をかなり手を加えた感じに見えるのでおそらく青春18きっぷを意識しているのは間違いないでしょう。
しばらくすると、宇和島行きがやってきます。車両はこの日下灘駅にやってくる唯一のキハ185系3100番台車。「伊予灘ものがたり」も下灘駅にきますがこれは青春18きっぷでは乗車できないので、青春18きっぷで乗ろうとするとこの列車に限定されます。
さすがに特急型車両なだけあって乗り心地はなかなか。宇和島駅には定刻に到着しました。
さてここから先、本数が少ない区間が複数あります。
- 予土線江川崎~窪川(1日4往復)
- 土讃線窪川~須崎(1日5往復)
- 土讃線土佐山田~大歩危(1日5往復)
予土線が少ないのはなんとなくわかりますが、本線格である土讃線も減便によってかなり青春18きっぷのハードルが上がってしまいました。しかし、下灘からスタートするこの四国一周ルートは奇跡的に接続ががっつりはまるルートです。
- 下灘6:59~宇和島9:19
- 宇和島9:39~窪川12:07
- 窪川12:33~高知14:41
- 高知15:27~阿波池田18:16~琴平19:36
となり、さらに普通・快速列車のみで京阪神まで乗り継ぎ可能という、素晴らしいダイヤでした。なお、高知15:27発の阿波池田行きがそのまま琴平行きに変身して直通するスタイルです。
なので当日は同じような乗り継ぎする人で一杯になるのでは・・・?と思ってたのですが、自分だけのようです。
しかし、2025年3月15日のダイヤ改正で高知から先が15:27→16:15と後ろ倒しになり、阿波池田で琴平行きに乗り継ぎができなくなってしまい、ここで高松方面の普通列車がなくなってしまいました。
なお、高知16:15発の阿波池田行きに乗り、大歩危で特急「南風24号」で阿波池田まで特急ワープすると、阿波池田で18:36発琴平行き最終普通列車に乗り継ぎ可能です。ワープ代は、乗車券+自由席特急料金あわせて980円。
なお、大歩危~土佐山田間は5往復→4往復に減便され、さらに18きっぷ難易度が上がってしまいました。
せっかくベストな乗り継ぎ見つけたと思ったら、ダイヤ改正ですぐ消えてしまうのは青春18きっぷあるある、な話なのではないでしょうか。見つけたら即活用が青春18きっぷの鉄則です。
高知駅での乗り継ぎの際、駅近くのスーパーで見つけた「土佐巻き」。土佐巻きとはかつおのたたきを太巻きにしたものです。もっともそのまま巻くと生臭さがついてくるので、青葉やニンニク、ネギなどでにおいを消す場合が多いです。
高知県ではよく見かけますが、他県ではみることがあまりない「高知名産品」の一つではないでしょうか。
土佐巻きをほおばりながら阿波池田行きに乗車。途中新改駅でスイッチバックに入ります。土讃線は坪尻、新改の2駅のスイッチバック駅がありますが、坪尻は「四国まんなか千年ものがたり」も停車することもあって比較的知名度もありますが、新改はあまり知名度もなくまた駅舎も坪尻ほど観光地化されていません。
もっとも列車訪問だと停車列車が1日上下合わせて6本しかなく、かつ昼間に停車列車が多い坪尻と違って早朝深夜がメインなので、かなり訪問難易度が高い駅となっています。
さらに土佐北川駅にも停車。こちらは鉄橋上に島式ホームがあるという珍しいタイプの駅です。
ここから先はどんどん日が暮れてしまい、大歩危ではかろうじて外が見える程度。終点の阿波池田では真っ暗になってしまいました。
阿波池田で1分乗り継ぎで徳島行きに乗り、この日は徳島駅近くのホテルで宿泊です。
春から冬に逆戻り
翌日は徳島から岡山に渡り、ここから普通列車新見行きで新見に向かいます。車両は転換クロスシートの213系。かつてマリンライナーとして高松に乗り入れてたのははるか20年前の話。今やすっかり岡山地区のローカル電車となっています。

高梁川を見ながら新見に到着し、キハ120に乗り換えて今度は備後落合へ。
芸備線北部は存続問題がマスコミをにぎわせる閑散路線ですが、そのマスコミがにぎわせたせいか、青春18きっぷ期間中は大勢の乗客が押し寄せ、さながら満員電車のような状態になることが多いです。
もっとも青春18きっぷなどのフリーきっぷ客は路線の利用者数にカウントしないルールなので、2023年の東城~備後落合の輸送密度は20人。利用実態と数字が全くあっていません(笑)
というか、ほとんどの客が青春18きっぷをはじめとするフリーきっぷ客であることを示しています。
そんな中、2025年7月から11月にかけて芸備線三次~新見間で1往復増便するとことが発表されました。

ダイヤを見る限り、15年ほどまでまで存在していてその後減便された12時半ごろに備後落合に発着する便を復活するようです。
この時間帯はかつては「奥出雲おろち号」も運行されており、備後落合で、「おろち号」と三次行き、新見行きが相互に乗り換えられるダイヤで青春18きっぷでの通り抜けも可能でしたが、今回の増便(復活?)では木次線側は特に増便の予定はありませんから、純粋に芸備線のみの施策となります。
まったく連携取れてない感がありありですね・・・
芸備線の備中神代~東城間は比較的平坦ですが、東城を過ぎると山間部に。川と並走します。そのうち、白いものがちらほら見えてきて・・・
道後山近辺ではすっかり雪景色に。この付近が豪雪地帯であることをうかがわせます。雪景色の中、備後落合に到着。木次線に乗り換えです。
木次線は大雪のため、出雲横田~備後落合間が運休中。俗にいう「冬眠」ですが今年は雪が多いため、3月になっても運休が継続していました。
備後落合駅で八川駅の「八川そば」に弁当そばの出前を注文。これから代行バスに乗る旨告げて、駅前停車中の出雲横田行きジャンボタクシーに乗り換えです。9人乗りのハイエース。逆に言えばそれ間に合ってしまうのが木次線出雲横田以南です。
木次線と並走する国道314号線は除雪がきっちりなされ、いたって快適。自分もこの区間は毎月のように車で走るのでよくわかるのですが、正直この快適な国道314号線を車で来てしまうと木次線で来たいという気をなくしてしまうのが悲しいところ。
各駅で3分ほど時間調整があるのも、木次線よりバスのほうが早いということを示しています。
三井野原でサミットを迎え、そこからどんどん降りていきます。2重ループ線であるおろちループは日本でも最大規模です。降りたところにあるのが出雲坂根駅。そして八川駅に到着です。
ここで八川そばの「そば弁当」(900円也)を受け取り。再度乗車して出雲横田に到着。ここで列車に乗り換えです。
出雲横田駅で待っていた宍道行きはセミクロスシートのキハ120形300番台車。普段は出雲市以西で活躍していますが、最近は検査時期を中心に木次線に入ることもあるようです。
宍道行き車中で「そば弁当」を食します。八川そばでは、「そば弁当」(900円)と、「トロッコ弁当」(750円)の2種類の弁当があり、「トロッコ弁当」はそばに舞茸や山菜など、山の幸が詰まったお弁当、一方「そば弁当」はそばのみがぎっちり詰められた弁当です。
木次線の「出雲そば」は亀嵩駅の「亀嵩そば」が有名ですが、八川もあらかじめ電話予約すれば営業時間内ならば駅ホームまで出前してくれます。タイムリミットは特にありませんが、店が混雑することもあるので最低でも1時間前には電話しておくこと。また基本的には営業時間内での対応で、八川駅13時台発着の備後落合行き、15時台発着の宍道行きが対象です。(16時過ぎの備後落合行きについては可能かどうかは応相談。)
つゆは亀嵩そばと対象的で、甘めの味付けの「亀高そば」に対し、「八川そば」はやや辛め。このあたりは好み次第ということで、両方注文して味を比べてみてもいいかもしれません。
なお、「奥出雲おろち号」廃止後も、「トロッコ弁当」自体は健在で、電話注文時は「そば弁当」か「トロッコ弁当」か聞かれるのであらかじめ決めておきましょう。
なお、2025年春に価格改定が行われ、「トロッコ弁当」が880円に、「そば弁当」が1100円になっています。
そばをすすっていると、亀高でそばを受け取る人が。
やっぱり木次線に出雲そばはマストアイテムかもしれませんね。(混雑していると、広げるのは気がひけますが・・・)
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