2024年3月の根室本線富良野~新得間廃止で、完全になくなったのがこの滝川~釧路間の直通列車です。
根室本線では昔から滝川~釧路間を直通する普通列車が運行されており、特に滝川を朝9時台に発車する2429D(2016年は2427D)については、列車番号がかわらず直通する列車として、以前から注目されていました。
2015年当時の時刻は滝川駅9時36分発・釧路駅18時03分着で、走行距離308.4km、所要時間は実に8時間27分。サボには「日本一運行時間の長い定期普通列車」の名が入っていました。
その人気に着目してJR北海道では釧路駅において滝川~釧路間の有効な乗車券(青春18きっぷでも可)をもって2429Dから下車した乗客に対し、この「完全乗車証明書」を配布していました。
ただ、「日本一運行時間の長い定期普通列車」ってなんか妙な言い回しですが、これは2015年3月までと、2016年3月から2017年3月まで岡山~新山口・下関間に直通列車があり、こちらのほうが走行距離が長かったため、「日本最長距離」ではなく「日本一運行時間が長い」という表現になっています。
新型電車227系に投入に伴う系統分割、短距離化が進む山陽本線で2016年に突然登場した岡山発下関行き369Mは乗り鉄界(?)をざわめかせましたが結局1年でなくなり、糸崎で分割、さらに翌年は岩国でも分断されています。
今回の滝川~釧路間の「完乗証明書」は2015年に配布されたバージョンで、2両編成のタラコ色のキハ40が表面となり、一方裏面ではその停車全駅と地図が描かれており、実際の2429Dは滝川から富良野までは1両編成。富良野から釧路までは2両で運転されていました。
途中休憩しながら
この2429Dは途中長時間停車が多いのが特徴で、富良野で車両切り離しのため長時間停車、このほか、落合、新得、帯広、古瀬など結構な駅で長時間停車がありました。結果、岡山~下関より60kmほど短いのに、所要時間は1時間近く長くかかっています。
落合はこれから狩勝峠にアタックする前の駅としてしばらく停車。このときはまさか廃止されるとは夢にも思ってなかったのですが、翌年には台風によって運休してそのまま廃止になってしまっています。
帯広はちょうどランチタイムになり、いったん改札を出て昼食を購入するのに最適。
途中の常豊信号場での特急待ちは、外に出られないため車内で穏やかな時間が流れ、そして古瀬は秘境駅トップランクに位置し、ちょっとした気分転換に最適でした。
冷房のないキハ40は夏場は窓を開けてのんびりと過ごすことができ、まさに鈍行列車の旅を満喫できたものです。
釧路に着くころは夏とはいえ夕暮れ時となり、そして運賃表もすごいことになっていました。最高額を改札で払ったことある人はあるのでしょうか。
この2429Dは、2016年3月に2427Dに変更。しかし8月に台風によって富良野~新得間が運休に。10月に富良野~東鹿越間が復旧しますがこのときは、滝川~東鹿越間を9429D、新得~釧路間を2427Dとして運行して途中バスでつなぐことに。
しかし、東鹿越からの代行バスでは間に合わなかったため、JR北海道では、富良野~幾寅間を国道38号線でショートカットし途中停車駅を幾寅に絞った快速の代行バスを2017年から運行、9429Dと2427Dを無理やり接続するダイヤとなりました。
しかし、さすがにあまりにも地域の流動を無視するダイヤだったようで、快速バスも2018年には廃止されてしまい、事実上この時点で2429D~2427Dは消滅してしまっています。
復活を求める声もありましたが、2024年3月末限りで線路自体が廃止されることで、この滝川~釧路間の長距離ドン行は完全に過去入りとなってしまっています。
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