北陸新幹線金沢開業と同時に運行を開始した金沢から和倉温泉を結ぶ「花嫁のれん」の特急券になります。
特急料金が聞きなれない額ですが、金沢~津幡間のIRいしかわ鉄道の特急料金が200円(指定席・自由席同額)+津幡~和倉温泉間の特急料金が1490円(指定席・繁忙期)で合計1690円。
これが所定の特急料金ですが、J-WESTカードのeチケットレス特急券の料金で購入したため、津幡~和倉温泉間が所定の1490円が650円になり、合計850円となっています。
J-WESTカードのeチケットレスは特に発売枚数に制限がないにもかかわらず値引きされるうえに受取が不要で、きっぷ購入に並ぶ必要がないため、JR西日本では自分はすっかりメインで使う特急券になってしまいましたが、「花嫁のれん」に限っては「チケットレス」であってもきっぷを引き取ったほうがいいです。
理由は後述します。
「花嫁のれん」とは?
「花嫁のれん」とは旧加賀藩に伝わる風習で、花嫁の幸せを願い婚礼の日にのれんを贈る伝統文化です。嫁入りの際1回のみ使用される「のれん」で、これをそのまま列車名にしています。
車両はキハ48形気動車を改造して使用。JR西日本ではもともとキハ48形は数両しか在籍しておらず、現存するのはこの「花嫁のれん」で使用する2両のみとなっています。
車両はとにかく華やかな印象。まあ「花嫁」というからには華やかでないとだめでしょうが、ここまで見た目に豪華、ではなく「華やかさ」がある車両は珍しいのではないでしょうか。
車両は2両編成で全車指定席。2号車は、4人掛けボックスシートと2人掛けボックスシートを配置し、真ん中は窓側向けシートを配置。その真ん中にはイベントスペースがあり、イベント時にはここが使われます。
一方、1号車は個室タイプの座席が8ボックスあり、2人用、3人用、4人用それぞれが用意されています。
完全な個室ではなく、いわゆる「半個室」ですが間仕切りが特徴的で、座席を区切る壁には個室ごとに加賀友禅による壁絵が描かれ、一方通路との仕切りは棒のようなものになっています。イメージとしては、加賀友禅で染色された着物を壁代わりに吊るしているといった感じでしょうか。
この1号車の感覚は、あまり他の列車では見られないものなので、一度その目で見てみることをお勧めいたします。
ネックは座席番号で、1号車は半個室ではあるものの、部屋売りではなく座席売りになるため、見知らぬ人と同席する可能性があること。2号車はさほど気にならないかもしれませんが、1号車は気にする人もいそうです。
また、座席の割り振りがかなり独特で、例えば今回乗車した1号車5B席は、B席なのにもかかわらず和倉温泉方面向きの窓側席になります。ところがこれが1号車7B席になると、金沢方面向きの通路側席に。
同じB席であっても全く異なります。「花嫁のれん」はいろいろなタイプの座席があるため、座席指定の際に事前にどの席がどこなのかあらかじめ確認することが必要ですね。
1号車の出入口付近には販売カウンターがあり、お土産や飲み物、おつまみやスイーツなどが売られています。基本発車前から営業しており、係員が出払ってなければいつでも購入可能。
一方、事前予約制の商品もあり、「tabiwa by WESTER」で4日前まで購入可能です。「花嫁のれん1号」ではパティシエ辻口博啓のスイーツセットでした。辻口博啓は、ANAのプレミアムクラスで提供されるお菓子によく出てくるので知ってはいたのですが、七尾市出身なのですね。
ラルムと呼ばれる生菓子と焼き菓子、そして「金のバウム」を名付けられたバウムクーヘンの組み合わせ。コーヒーまたは加賀棒茶がセットで付きますが、自分はコーヒーを選択。
のんびり景色を見ながらの道中となります。
なお、花嫁のれんは運行開始当初は車掌が乗務していましたが、現在はワンマン運転になっています。
その関係で、きっぷの確認は乗車前にアテンダントが確認するようになっているため、事前にきっぷのご準備を。
また、臨時列車の宿命か、あまりスピードは速くありません。同じく金沢~和倉温泉間約70kmを1時間で結ぶ電車特急「能登かがり火」に比べると、1時間半ほどかかります。もっとも観光列車にスピードを求めるのもなんなのかとは思いますが(笑)
で、車掌がいないということはきっぷにチケッターで押印をする人がいないということ。ということは「花嫁のれん」はきっぷの券面にチケッターないのか・・・と思ってたら、チケッターは乗車記念証コーナーに、乗車記念スタンプと一緒に置かれていました。
なんとチケッターは自分で押せ、とのことです。客にチケッターを押させる列車なんて初めてで、写真入りで押し方の解説まであります(笑)
きっぷのチケッターにスタンプを入れ、乗車記念カードにもスタンプを押してきっぷを入れれば、立派な乗車記念証の出来上がり。
まあ、これ見ればわかりますが、チケットレス特急券できっぷの引き換えを行わないと、チケッターも押せませんし、乗車記念証もなんか中途半端な感じになってしまいます。JR西日本のチケットレス特急券はきっぷの引き換えが可能ですが、この「花嫁のれん」に限って言えば、チケットレスでもきっぷの引き取りを強くお勧めします。
前回「フルーティアふくしま」で、きっぷどころか乗車証明書までデジタル化されていることを紹介しましたが、正直旅の思い出感という意味ではこちらのほうが断然上ですね。
JR東日本の徹底した「紙排除」の考え方は間違ってはいないかもしれませんが、もう少し柔軟に考えたほうがいいのでは?とこの「花嫁のれん」の証明書を見ながら、ちょっと考え込んでしまいました。
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