「こまち374号・はやぶさ56号」特急券

「こまち374号・はやぶさ56号」特急券
「こまち374号・はやぶさ56号」特急券です。こまちとはやぶさの乗り継ぎですが・・・?

大曲の花火大会の帰りは、深夜の「こまち374号」で盛岡に出て1泊。そして盛岡から「はやぶさ56号」に東京に戻りました。
・・・とまあ、これだけだと大曲花火からの帰りに新幹線使ったんだなで終わりですが、いろいろとツッコミが入りそうなきっぷです。

一泊したのに1枚の特急券?

「こまち374号」指定券
深夜0時30出発の「こまち374号」の指定券。盛岡着はなんと深夜の1時半
「はやぶさ56号」指定券
こちらは「はやぶさ56号」の指定券。お昼過ぎに盛岡を出発します。

このきっぷは「えきねっと発券」の文字が示すとおり、えきねっとで予約しています。
えきねっとでは「当日に乗り継ぐ場合に限り」2列車の乗り継ぎの特急券(乗継割引含む)を予約することができます。
つまり「こまち374号」の大曲出発は8/28の深夜0時半「はやぶさ56号」の盛岡出発は8/28の14時16分、と同一日なので、えきねっとで予約できてしまいます(笑)
まあ改修前のえきねっとなので、今は発券可能なのかわかりませんが・・・

そしてこのきっぷは「幹在特」で発券されています。
これは新幹線と在来線を通しで購入するときに表示され、「幹」が新幹線、「在特」が在来線の特定特急料金です。特定特急料金は通常の特急料金の3割引きです。

さてこの料金ですが一筋縄ではわかりにくいです。運賃計算アプリ等を使えば簡単ですが、ここは料金を解剖してみましょう。

盛岡~東京の新幹線の特急料金は3910円(新幹線特急料金5810円+はやぶさ加算で510円増し+繁忙期で200円増し-株主優待4割引き

大曲~盛岡の在来線の特定の特急料金が800円(特急料金1700円+繁忙期で200円増し-幹在特で3割引き-株主優待で4割引き

これの合計が発売額になっています。算数の苦手な方はかなりきついかもしれません(笑)
別々に購入すると幹在特の3割引が消えるし、株主優待は特急券は1枚のみ割引なので、2枚の特急券のうち、片方は株主優待の4割引が適用できなくなってしまいます。
そういう意味でもなんとしても1枚に収めるべききっぷですね。

深夜の盛岡駅に到着してホテルで寝る->盛岡観光して夕方帰京、というルートなのに、特急券は1枚で扱われる(しかもえきねっとで買える)という珍妙なきっぷになってしまいました。でも券面には「途中出場できません」の文字が。うむむむ。

実際問題、こまち374号は盛岡駅には在来線ホームに到着しますが、改札で見せるとそのままスルーパスでした。(ちなみに自動改札は稼働しておらず、駅員がチェック)

2022年の旅客営業規則改正で・・・?

ちなみに、この盛岡で出場できる根拠は旅客営業規則57条の3の4項に規定されています。

旅客が、東北本線(新幹線)の特別急行列車と奥羽本線福島・新庄間の特別急行列車(第 57 条第2項第6号の規定により1個の特別急行列車とみなす場合を含む。)とを福島駅において直接乗継ぎをする場合(当該線区を直通して運転する列車に乗車する場合を含む。)、又は東北本線(新幹線)若しくは東北新幹線の特別急行列車と田沢湖線、奥羽本線大曲・秋田間の特別急行列車とを盛岡駅において直接乗継ぎをする場合(当該線区を直通して運転する列車に乗車する場合を含む。)で、次の各号に該当するときは、奥羽本線福島・新庄間及び盛岡・秋田間の1個の特別急行列車に対して特定の特別急行料金によって指定席特急券、立席特急券、自由席特急券又は特定特急券を発売する。

(1) 乗継ぎをする後乗列車の乗車日が先乗列車の乗車日の当日である場合。
(2) 当該乗車に必要な乗車券及び特別急行券を同時に購入し、又は当該乗車に必要な乗車券を呈示して、先乗列車及び後乗列車の特別急行券を同時に購入し、これに相当の証明を受けた場合。

ところが2022年3月のつばさ号全車指定席化および、特急料金体系変更に伴う旅客営業規則の改正で、旅客営業規則57条の3の4項は下記のように変更されました。

旅客が、次の各号に定める区間の特別急行列車の停車駅相互間を、新幹線と新幹線以外の線区とを直通して運転する特別急行列車に当該線区をまたがって乗車する場合(新幹線と新幹線以外の特別急行列車を途中出場しないで乗り継ぐ場合を含む。以下同じ。)は、新幹線の区間(第 57 条第2項第1号の規定により2個以上の特別急行列車を乗り継ぐ場合を含む。)と新幹線以外の区間(第 57 条第2項第6号の規定により1個の特別急行列車とみなす場合を含む。)を通じた全区間に対して特定の特別急行料金によって指定席特急券を発売する。

(1) 東京・新庄間(東北本線(新幹線)、奥羽本線経由)
(2) 東京・秋田間(東北本線(新幹線)、田沢湖線、奥羽本線経由)

規則上では、従来は盛岡で新幹線(幹)と田沢湖線の特急(在)を乗り継ぐ、という概念をもっていましたが、今回の変更によって、「乗り継ぐ」という概念はなくなり新幹線も在来線も基本的に同一列車という考え方に変わっています。

これは料金面にも表れており、従来は新幹線の特急料金+在来線の特急料金(3割引)という別建てで算出していましたが、
この改正で指定席は一列車分として計算され東北新幹線の特急料金+秋田新幹線の特急料金からそれぞれ530円差し引いた額を合算したのち、指定席分として改めて530円加算する形になっています。
(山陽新幹線と九州新幹線の通しの特急料金などと同じ考え方です。)
変更後の「こまち」はまだ未乗車ですが、おそらくきっぷの券面から幹在特の文言は消えているのではないかと思います。

一方、今回の改正で新幹線と在来線の接続駅で、「途中出場しないで乗り継ぐ場合」という言葉が入ってしまい、盛岡駅で下車ができなくなってしまいました。
つまり、今回のようなこまち・はやぶさ乗り継ぎは事実上できなくなったということです。

ただ発券自体は不可能である旨の条文は見つからなかったので、もしこの特急券を今後発行した場合は深夜の盛岡駅で滞在することになってしまいます。現実はそんなことは治安的に問題なので、特例的に改札の外に出されそうではありますけどね。

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