前回の記事に引き続いて2023年3月18日のダイヤ改正で「あかぎ」に統合された「スワローあかぎ」です。
今度はスワローあかぎ料金券という珍妙なきっぷです。
ホームライナーを特急に格上げの際、ホームライナーの特徴であった必ず着席できるという利点を満たすためには指定席である必要があります。一方、特急でも自由席の場合、必ず車内改札が必要となり、短距離特急の場合は速やかに済ませるために、人海戦術で行ってきました。この手間も省く意味もあり、全車指定席に踏み切りました。
ただ、単純に指定席化すると最低でも530円という通勤にとっては無視できない値上げとなってしまいます。
そこで2つの回避策を用意しています。
一つはえきねっとのチケットレス特急券です。えきねっとで購入し、そのまま乗車することできっぷ購入の手間と車内改札の廃止が狙えます。
そしてもう一つが今回紹介する「スワローあかぎ料金券」です。
この「スワローあかぎ料金券」は「スワローあかぎ」でのみ利用できる料金券で、購入時に日付を指定します。
その状態でも空いている席に乗車できますが、無料で座席指定ができるので、通常は購入時に座席指定を済ませてしまうケースがほとんどでしょう。
全車指定席のうえ、「チケットレス特急券」と「スワローあかぎ料金券」の2つを柱として大々的に告知したのが「スワローサービス」でした。
特急「スワローあかぎ」号が新登場 さらなる着席サービス向上のため、「スワローサービス」を開始します。
もちろん通常のB特急券でも乗車可能ですが、正直メリットが皆無だったため、事前に料金券を用意していたほとんどの客が「チケットレス特急券」「スワローあかぎ料金券」利用ではなかったでしょうか。
ただし、車内では買えないため、飛び込みで乗車すると割高なB特急料金を支払う必要があります。
券面を見ると「替」の文字が。これがもともとは「スワローあかぎ料金券」という「スワローあかぎ」利用できる料金券タイプのトクトクきっぷで、指定席の交付を受けたため「替」の文字が入っています。
券面スタイルが、特急券タイプではなくトクトクきっぷスタイルになっているのは、純粋な「特急券」ではないからだと思われます。
185系、新宿発の前橋行きの「スワローあかぎ」
2014年に登場した「スワローあかぎ」ですが、登場当初は651系だけでなく185系も使われていました。
185系は前身の「ホームライナー」と同じ車両だったため、登場当時は「純粋な値上げじゃないか」とかなりパッシングがあったのを覚えています。
また、当時は「スワローあかぎ」に上野発のほか新宿発もありました。新宿、池袋と停車して大宮から高崎線に入ります。(当時は湘南新宿ラインに浦和駅がなかったため、浦和駅は通過)
きっぷを新宿発ではなく池袋発にした理由は・・・まあわかる人はわかりますよね。きっぷを池袋発にすると100km以内に収まるため、料金が1段階下がるためです。
新宿行きは2023年3月時点でも1本存置していますが、新宿発は2016年に早々と廃止されてしまいました。やはり利用率が芳しくなかったからでしょうか。
また「スワローあかぎ13号」の行き先も「前橋」となっていますが、高崎以遠にいく「あかぎ」「スワローあかぎ」もほどなく廃止されてしまっています。
185系10両編成ですが、この日はお盆直後とあってか気の毒なほど空いていました。池袋発車時で3割程度。それもどんどん減り、熊谷で1車両一桁に。そして高崎に着くころにはほとんど誰も乗っていませんでした。
有名無実化したスワローサービス
さて、このように2014年に「チケットレス特急券」「スワローあかぎ料金券」を導入して全車指定席化を達成した「スワローあかぎ」の「スワローサービス」ですが、翌年2015年に早くも手が入れられます。
この「スワローあかぎ料金券」の制度はわかりにくかったようで、2015年に「スワローあかぎ」用の特急料金が整備されるようになりました。
これが現在も使われる「事前料金」「車内料金」に分かれた列車別の特急料金です。このため「スワローあかぎ」のB特急券は開始1年で消滅し、通常の特急券となりました。
スワローサービス自体の名称は残りましたが、他の列車にも適用されるようになり、あまり言われなくなっています。
「スワローあかぎ」で始まった列車別の割安な特急料金は、2023年3月のダイヤ改正時点で「ひたち」「ときわ」「あかぎ」「あずさ」「かいじ」「富士回遊」「はちおうじ」「おうめ」「踊り子」「湘南」の各列車に適用されるようになっています。
注意点としては、この割安な特急料金はあくまでも「列車名単位」で適用されるもので、「路線単位」で適用されるものではない点です。
今まではこれをあまり意識することはなかったのですが、2023年3月のダイヤ改正で特急「草津・四万」が登場し、一気に顕在化しました。同一区間、例えば上野~熊谷間で「あかぎ」と「草津・四万」で特急料金が異なるようになったです。
・「あかぎ」で上野~熊谷間に乗ると1020円(事前料金・通年同額)
・「草津・四万」で上野~熊谷に乗ると1480円(通常期)
・「たにがわ」で上野~熊谷に乗ると1870円(自由席・通年同額)
「たにがわ」は新幹線なのでおいといて、「あかぎ」「草津・四万」は同じ在来線の同じ日の同じ車両の特急なのに差異が出てしまってます。
従来、全車指定席の特急=割安な特急料金というイメージがありましたが、「草津・四万」はその割安な特急料金に指定されなかったため、通常のB特急料金が適用となり、単純に値上げされた形となりました。
「あかぎ」の特急料金体系
「草津・四万」の特急料金体系
「草津・四万」と割安な特急料金の指定をしなかった理由は不明ですが、そもそもこの列車は前身の「草津」時代から指定席より自由席のほうが空いていることが多く、観光客に特化した特急ということで適用外になったのではと推測しますが、なんだかなあ、と思ったり。
今後乗るときは列車名に注意が必要です。
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