JR西日本は、2024年の北陸新幹線敦賀開業にあわせて、関西と北陸との間できっぷに引き換えずにチケットレスで乗車できるシステムを構築しました。これが「北陸乗継チケットレス」です。
在来線では、ICOCAなどの交通系ICカードでの乗車券利用+チケットレス特急券、新幹線ではスマートEXなどネットで予約して交通系ICカードをキーにして入場できるシステムを構築していますが、今回のような在来線+新幹線の場合、両方を混ぜてしまいました。つまり
・在来線:交通系ICカード利用+チケットレス特急券
・新幹線:交通系ICカードに紐づけたチケットレス乗車券・特急券
することで、1枚の交通系ICカードで関西~北陸を利用させようというものです。上記のうち、赤字部分を「北陸乗継チケットレス」として販売するようになりました。
1枚のきっぷで、「乗車券+特急券」と「特急券」のみがくっついたきっぷはおそらく前代未聞です。当然のことながらこのきっぷの使い方に関する疑問が続出することに。特にきっぷに引き換えてそのまま使用しようとした人が結構いたみたいで、改札口で止められている人を何回かみました。(いうまでもなくこのきっぷは在来線の乗車券部分は含まれていないので、特急券単体では自動改札は通れません。)
ただ、価格的には魅力です。大阪~金沢で「サンダーバード」+「つるぎ」利用だと下記のとおり。
きっぷ | 運賃・料金計 |
---|---|
通常の運賃+特急券 | 9410円 |
大阪~敦賀の乗車券+北陸乗継チケットレス | 9170円 |
通常の運賃+e特急券(J-WESTカード専用) | 8740円 |
大阪~敦賀の乗車券+e北陸乗継チケットレス(J-WESTカード専用) | 8500円 |
北陸新幹線開業前の在来線「サンダーバード」乗車券+特急券 | 7790円 |
「大阪~敦賀の乗車券」は交通系ICカードで代用できるので、「北陸乗継チケットレス」とあわせて1枚のICカードで利用できます。
なお、J-WESTカード利用の場合、北陸乗継チケットレスがもう一段階安くなる「e北陸乗継チケットレス」になります。発券した券面には出てきませんが、スマホ上の提示画面にはきっちり表示されます。
また、きっぷに引き換えるとそれぞれの運賃・料金がわかります。
これを見ると「敦賀~越前たけふ」間の運賃・料金はどうやら通常のJ-WESTカードの運賃+e特急券と同額の模様。券面も前回紹介した「つるぎ23号」特急券・乗車券(eきっぷ)と全く同じ券面で区別がつきません。
一方、「サンダーバード19号」は通常特急料金1730円が600円と、かつての乗継割引の半額よりさらに安くなっています。
なお、この「北陸乗継チケットレス」ですが、かなり宣伝しているなあという印象でおそらくJR西日本としても一番推したかったのかもしれませんが、思ったより売れなかったようで、2025年4月1日にさっそくテコ入れが入りました。
具体的には「北陸乗継チケットレス」の価格をJ-WESTカード専用の「e北陸乗継チケットレス」と同額として事実上値下げし、「北陸・関西チケットレス」として販売するようになりました。

値下げと名称変更以外は効力に変更はなく、枚数制限もないので(もちろん指定席満席の場合は発売しません。)単純に使いやすくなったというべきでしょうか。
さらに新設された「北陸・関西チケットレス 早特7」では、大阪~金沢間は6710円(大阪~敦賀間の乗車券含む)となっています。
乗車券とのあわせ技
さて、この「北陸乗継チケットレス」は、在来線部分の乗車券を含まないと記載しましたが、当然ながらこの部分は交通系ICカードのほか、紙の乗車券でも利用可能です。
紙の乗車券の場合、必ずしも大阪・京都~敦賀の乗車券である必要はなく、上記のような経由に含む乗車券でも利用可能です。
図解すると上記の感じ。青線部分が今回併用した株優の乗車券です。このように株優の運賃半額の恩恵とe北陸乗継チケットレスの半額以下の特急料金を活用しようとしたのですが、ここで敦賀の新幹線乗り換え改札口では何を入れたらいいのか?
というわけで敦賀駅の新幹線乗り換え改札口で、
・松江~京都~敦賀~小浜の株優の乗車券
・敦賀~越前たけふの「北陸乗継チケットレス」
と敦賀駅でつながっている2枚のきっぷを投入すると、
ぴーんぽーん♪
ま、そうなるわな。
というわけで有人改札に向かって通過。本来ならば敦賀駅の途中下車印を押さないといけないはずだけど省略されました。うーむ。
もっとも敦賀までの乗車券ならば問題なく自動改札は通れます。今回のように敦賀駅で経路途中の途中下車扱いになるひねくれたきっぷを持っていた場合、有人改札での処理になるようです。
混雑と遅延と。
サンダーバード19号はやや遅れ気味で京都駅に到着。683系の9両編成は満席で、デッキに立ち客もいる盛況ぶり。当然のごとく乗車に時間がかかり京都駅約6分遅れで発車。
「サンダーバード」というと湖西線の風の影響をよく言われますが、単純に混雑で遅れるほうが確率として多いです。
混雑による遅れはせいぜい数分~10分程度なのですが、敦賀駅で最短8分接続を考えるとこの遅延は結構シンドイ。
湖西線で遅れ回復は数分程度で、敦賀駅には約4分遅れで到着。
すぐ接続する「つるぎ20号」への乗継時間は9分が5分になり、乗客は敦賀駅到着前から立ち上がって一斉にドア付近に向かいます。
ドアが開くと一斉に乗客が飛び出して新幹線ホームに急ぎます。
もっとも「サンダーバード」が遅れたときは、遅れた分だけ発車を後ろにずらすのが基本のようで、この日も乗継の「つるぎ20号」は4分遅れで発車していきました。
つまり、焦らなくてもいいってことです。
もっとも人間心理はそんな簡単に割り切れるものではなく、遅れてたら本能的に急ぎたくなるようですね。
自分はその後続の「はくたか566号」に乗車。
車両はJR東日本のE7系。10分強で越前たけふ駅に到着です。
いまだに福井県でJR東日本の新幹線のチャイムが流れるのに慣れず、違和感を感じてしまうのですが、このチャイムが京都、大阪まで到達するのはいつになるのでしょうか。
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