山陽新幹線フリーパスを使用したグリーン車乗り比べなんてものをやってみました。
・新大阪7:34(ひかり531号)博多10:11N700系
・博多10:15(のぞみ20号)新大阪12:43N700S系
博多駅でわずか4分での折り返しですが、新幹線なら大丈夫だろう・・・と謎の信頼感が。
こんな遊びができるのもグリーン車が利用できる山陽新幹線フリーパスならでは、かな。全線乗り放題だと多分別のこと考えてたと思うので。
行き:ひかり531号、速達ひかりの車内は案外静かだった
「ひかり531号」は名古屋始発ですが、名古屋~新神戸までは各駅に停車するものの、以降は「さくら」並に停車駅を絞り、新大阪~博多間で後続に追い抜かれずに先着する珍しい「ひかり」号です。
新大阪駅で入線したN700系にはEXPO2025のラッピングが。これは大阪万博を盛り上げるために、N700系、N700系九州新幹線直通編成、N700S系、W7系の各1編成にラッピングを施したもので、図らずもそれに遭遇しています。
なお、ラッピングしているのはすべてJR西日本の編成なので、今回乗車する「ひかり531号」もJR西日本編成となります。
今回乗車したN700系は俗に「スモールA」と呼ばれるN700系でも初期編成にあたります。N700S系の増備に伴って廃車が進行しており、徐々に数を減らしています。
このタイプのグリーン車は過去10年以上何度も乗っていますが、改めて車内を見直すとなんか座席が黒ずんで見えます。おそらく製造時から10年以上モケットの変更を行っていないのでしょうが、10年の歳月が容赦なく見えた瞬間でした。
N700系グリーン車の座席の最大の特徴は「シンクロナイズド・コンフォートシート」と呼ばれる腰の部分が沈み込む座席。N700系が登場した当時は、この手の腰部分がチルトするシートが流行しており、同期として近鉄のアーバンライナーのリニューアル車や、JALのクラスJ、JR高速バスのクレイドルシートなどがありますが、このN700系のグリーン車のは、それらの座席を大幅に上回る快適な座り心地だと思います。
まずシート全体が柔らかすぎず、固すぎず全体を包み込むような座り心地で角度も十分。リクライニングすると、腰の部分が沈みますがそれでもシートクッションのせいか座りごこちが変わることなくごく自然に倒れていきます。また、腰部が沈むと肘置きとのバランスが重要になっていますが、倒したときもごく自然に肘置きが使えるのはさすがと思いました。
この腰部が下がるシートの最大の欠点が肘置きとのバランスが悪くなるところで、たいていの座席はリクライニングすると一度座り直しをしないと肘置き乗せた肘がアンバランスになるのですが、N700系のはそれがほぼ不要で極めて自然にリクライニングを倒せます。
このほか、冷え性の方にレッグウォーマーを標準装備。また登場当初は東海道・山陽新幹線でラジオを効くことができ、そのチューナーがありましたが現在は撤去されています。
帰り:のぞみ20号、座った瞬間の思わず出た声は?
帰りは「のぞみ20号」を選択。博多駅到着後わずか4分で折り返しです(笑)。ちなみに、「ひかり531号」の指定券のD席の後ろに「C」の文字が入っていますが、これは、座席後ろのスペースに荷物を置くことができる座席になります。(Carryの「C」かな?)。一方、こちらの「のぞみ20号」のD席の後ろに「S」の文字がありますが、こちらはデッキにある特大荷物コーナーに荷物を置くことができる座席で、普通車指定席、グリーン車それぞれにあります。
乗継4分は余裕。流石に時間に正確な新幹線ではあります。
博多からの「のぞみ20号」は告知通りN700S系での運転。今度はJR東海車です。「ミャクミャク」がいない場合、JR東海車かJR西日本車の区別は、車体形式番号横のJRマークの色のみ(あとは運転台の編成番号ぐらい)でしょうか。かなり困難です。
車内は従来のN700系と大幅に印象が違います。側窓の一席一席ごとの仕切り感が強くなりより航空機の窓っぽくなっています。一方で座席の形状含めて角が取れてRが増えた意匠は、最近のデザインの流行を取り入れた感じでしょうか。
というわけで早速着座。
硬っ!!
思わず声を上げてしまいました。
N700S系のグリーン車に座ったときの第一声です(笑)。
いや、マジで固いわ。普通車も同じ感想を持っていましたけど、最近の座席はカタイのがトレンドなんだろうか。
お尻を支えるクッションも固め。意図的なのかあまりバネが効いてなさそうです。その割にはホールド感は高めでしっかり体を支えてくれる不思議。かつての新幹線100系のふかふかシートを知る世代としてはここまで違うようになったのか、とちょっと感動すら覚えました。
さらに驚いたのはリクライニングしたとき。N700系は腰の部分が沈みこみましたが、N700S系は腰の部分がやや深いながら座面全体が沈みこむスタイルに。同時にシート全体がやや後ろに流れる感じです。
このため、N700系ではお尻と膝部分に重心があったのがほぼ均等になり、体への圧迫感が軽減。そしてフットレストへの距離が延び、N700系に比べると自然に足が置けるようになっています。N700系は重心についてはクッションでフォローしていましたが、N700S系ではリクライニング機構そのものをいじって座席自体は固めにした感じです。
シートピッチ自体はN700系と変わらないもののシート自体が縦方向にやや小型化したせいか、足元の広さが広くなったり、足載せが大型化したりしています。
N700系とN700S系でかなりグリーン車の印象が違いますが、意外にも着座したときの姿勢は固いと思ったN700S系のほうがいいかな、と思いました。それぐらいフィット感がいいのです。N700系も悪くないのですが。
一方でリクライニングしたときは自分はN700系でしょうか。自分のお尻が大きいせいか、座面が後ろに沈み込むシートのほうが体にあっていたのかもしれません。
久々にシートの違いというものを堪能していますが、N700S系は照明も大きく変わっています。
N700S系の照明は間接照明が主ですが、駅に到着間際になると、荷棚にある照明が点灯し、一気に車内が明るくなります。
これによって寝過ごしを防ぎ、さらに荷棚上の荷物を忘れることがないように考慮されています。
一方で、途中駅で寝ていたい人にとっては、駅に着くたびにいちいち車内が明るくなって目が覚めてしまうのはどうよと思う部分もあるのですが、寝過ごしとは表裏の関係にあるだけに、このあたりなかなか難しい部分もありますね。
山陽新幹線は、「さくら」「みずほ」の2×2の指定席があるので、あまりグリーン車に乗ることはないのですが、正直座り心地を見るとやっぱりN700系にしろ、N700S系にしろ普通車と雲泥の差があるな、と思います。
外から見れば同じ2×2のシートであっても、やはりアッパークラスの座席はそれだけの価値のある座席でした。
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