のと鉄道「観光列車のと里山里海号」ほろ酔いプラン

ほろ酔いプランきっぷ

のと鉄道では、観光列車「のと里山里海号」を運行しています。沿線活性化の意味も込めて2015年に登場し、平日は定期列車の増結する形で運行され、運賃にプラス300円の「乗車整理券」を追加して乗車することになります。(カジュアルプラン
一方土休日は専用列車として運行され、運賃プラス乗車整理券ではなく、1500円の専用運賃を設定して乗車することになります。(ゆったりプラン)ただし、この1500円は「のと里山里海号」乗車のほか、帰りのきっぷも含まれているため、価格的にはフリーきっぷ「つこうてくだしフリーきっぷ」プラス500円で片道観光列車に乗って往復できるとなると、そこまで割高感はなく絶妙な価格設定だと思います。

さらに土休日はゆったりプランに加え、土休日の1往復(1号、4号)にはスイーツがついた「スイーツプラン」(3000円)、土曜の5号について日本酒がついた「ほろ酔いプラン」(3500円)が設定されていました。これは往復運賃も含まれているため、最近の1万円越えが当たり前の観光列車群と比べても割と廉価だと思います。

「スイーツプラン」は七尾市出身のパティシエの辻口博啓氏のお菓子+コーヒーという組み合わせ。似たプランは金沢~和倉温泉の観光特急「花嫁のれん」でも設定がありました。

特急「花嫁のれん1号」特急券(チケットレス)
北陸新幹線金沢開業と同時に運行を開始した金沢から和倉温泉を結ぶ「花嫁のれん」の特急券になります。特急料金が聞きなれない額ですが、金沢~津幡間のIRいしかわ鉄道の特急料金が200円(指定席・自由席同額)...

そして今回紹介する「ほろ酔いプラン」は、土曜夕方運行の5号のみで設定されるプランで文字通り日本酒とそのおつまみがふるまわれるプランとなっています。
きっぷは「ほろ酔いプラン」専用の形式。5号しか設定がないはずですが、なぜか1~4号にも設定ができるようになっています。なお、今回の記事は2017年に乗車したものとなります。

・・・とまあコロナ渦で運休はあったものの、それなりに順調に運行されてきた「のと里山里海号」ですが、2024年1月1日転機が訪れます。能登半島地震の発生です。
発生当時「のと里山里海号」は5号として能登中島駅に停車中に被災。そのまま運休となっています。

その後4月6日にのと鉄道自体は全線で復旧しましたが、「のと里山里海号」は引き続き運休とのアナウンスがされました。
しかし、2024年9月に「震災語り部列車」として「のと里山里海号」の運行を再開。車内で震災の状況を語る列車として再開されています。
当初は団体専用でしたが、2025年4月に一般の臨時列車として主に土休日に普通列車に増結する形で運行されるようになっています。

震災語り部観光列車 – のと鉄道

「震災語り部列車」は運賃+800円で全席指定となります。スイーツなど飲食の提供はありませんが、沿線をゆっくりと走りながら震災発生時の状況を案内しています。
1~4号が設定されていますが、ダイヤ的には震災前の土休日ダイヤに近い設定のようです。なお5号については、団体専用となり通常は乗車できません。

飲みながらゆっくりと

和倉温泉駅

和倉温泉駅の「花嫁のれん」との並び。「のと里山里海5号」は、「花嫁のれん3号」からの乗り継ぎが考慮されていました。

七尾駅で乗車手続きを行い、さっそく乗車。その前にJR西日本の観光列車「花嫁のれん」が和倉温泉に向けて先行していきました。
その和倉温泉に到着すると、「花嫁のれん」と「のと里山里海号」が並ぶ光景が見られます。乗り継ぎ客もちらほらいる模様。「のと里山里海号」の車両はNT300形とされ、北陸新幹線金沢開業の2015年に登場しました。

車内

車内はボックスシートと、ベンチシートおよびカウンタータイプの3種類。こちらは里海号の車内。

「のと里山里海号」は2両編成で、「里山」と「里海」に分かれ、乗車したのは青いモケットが特徴の「里海」。一方「里山」はオレンジのモケットとなります。

座席は4人掛けボックスシート、6人掛けのソファーシート、そして2人掛け、4人掛けの海向きに座席を配置したカウンタータイプのシートに分かれます。予約した9B席は海向きのカウンター席です。

和倉温泉を出発するとさっそく「ほろ酔いプラン」の配膳開始、「能登ワイン」か「地ビール」が選べるということで迷うことなく地ビールを選択。

ビールとおつまみ

ビールは能登半島先端にあるブルワリー「日本海倶楽部」の地ビールです。おつまみは枝豆もあるけどどちらかというと日本酒向けかな(笑)

やってきたのは能登半島の地ビール「日本海倶楽部」のもの。後で訪問しますが、能登半島の先端というかなり訪問難易度が高いブルワリーです。

一緒にやってきたおつまみはどちらかというと日本酒向け。その日本酒はというと・・・

日本酒

日本酒は3種類

宗玄酒造の純米酒「隧道蔵」
清水酒造の純米酒「奥能登輪島 千枚田」
数馬酒造の大吟醸「竹葉 能登大吟」

いずれも能登では有名どころではないでしょうか。このうち「隧道蔵」は確かのと鉄道の廃線した能登線の廃トンネルを日本酒の貯蔵庫として熟成させたものです。
ここには「のトロ」というトロッコ列車が走っていましたが、能登地震で壊滅的なダメージを受けて営業休止中。隧道蔵も出荷不能となり現在も販売を見合わせています。
ラベルに貼られているキャラクターがマスコットキャラクター「のトロ」です。

列車を海を見ながらだいたい40km/hぐらいでのんびりと進みます。海が見えるとやっぱりみんなシャッターを向けるのは全国共通ですね。
能登中島駅で10分ほど停車します。

オユ10

能登中島駅に停車中のオユ10。「のと里山里海号」にあわせて開けてくれます。

ここでは郵便車オユ10が列車の到着にあわせて開放され、車内見学が可能です。廃車になってからかなりたっていますが、手入れの状態はかなり良好そう。

車内

車内は、郵便の仕分けが可能なようになっています。

車内は郵便局の仕分け室のようになっており、郵便局から積まれた郵便物を車内で仕分けすることができます。こういう列車を「鉄道郵便局」と呼び、れっきとした郵便局の一種です。オユ10にはありませんでしたが、中には車体に郵便ポストがついた車両もあり、停車していた場合はホームから投函が可能でした。

能登中島駅のオユ10では、臨場感?のためか郵便物が入った状態で公開されています。

能登鹿島駅

能登鹿島駅。ホームから海が見えます。

穴水の一つ手前の能登鹿島駅で交換列車待ち合わせのためしばらく停車。ホームから海が見えます。またホームには桜が植えられており、春になると花見を楽しむことができます。

のんびりと約70分ほどで終点の穴水に到着。列車を見送ったあとバスで小木に向かい。この日はここで宿泊です。

さいはてのブルワリー

日本海倶楽部

穴水から宇出津乗り換えでバスで約2時間「立壁口」下車。徒歩5分ほどのところにある「日本海倶楽部」。公共交通機関で来る難易度はかなり高めです。

翌朝小木を出て、九十九湾小木駅などを見学したあと、珠洲方面行きのバスに乗車。途中の立壁口バス停で下車し、5分ほど歩くと目指す「日本海俱楽部」はあります。
穴水からバスで来る場合、バスの便が極小のためお店の営業時間内訪問して日帰りで往復することが困難なため、このように途中で宿泊を挟むか、のと里山空港にいったん出て、そこから珠洲道路を経由するバスを使用するしかありませんでした。

こののと里山空港から珠洲方面のバスは、航空機にあわせて運行されるため、一時は「金沢よりも東京からのほうが日本海倶楽部へ来やすい」と揶揄されていました。
現在は金沢から輪島行きの特急バスがのと里山空港に乗り入れ、珠洲方面のバスと接続するようになったため、金沢からでも乗り換え1回で済みます。もっとも金沢から4時間、穴水からでも2時間とかなりかかります。能登半島は思った以上に懐は広いところです。

タンク

醸造所ですから当然タンクがあります。ここでは地ビールはもちろん料理もうまい。

日本海に面した醸造所で、ここでは地ビールのほか併設するレストランで食事を楽しむことも可能です。
ただ一人で来る場合は車で来るわけにもいかず、公共交通機関でくるしかないわけですが、やっぱりそんなことをするヒマ人(?)は地ビールファンばかりなんだとか。
まあ、ここまで不便だと立ち寄り地というよりは目的地になってしまいますからね(笑)

ここで一通り飲んで、少し酔いが回った形で穴水方面に帰っていきました。

 

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