「稚内->抜海」乗車券(抜海港/利尻富士)

稚内から抜海の乗車券

あけましておめでとうございます。
新年1回目のネタは「稚内->抜海」の乗車券です。抜海駅の入場券はないのでフリーきっぷは持っていたものの、「抜海」の文字を見たかったのでわざわざ乗車券を購入してみました。

抜海駅は日本最北の秘境駅として有名ですが、その抜海駅も2025年3月のダイヤ改正で廃駅になることが決定しています。

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おそらくこの冬は大量の人が抜海駅を訪問するかと思いますが普通列車が1日7本のみ停車で他に公共交通機関もないので訪問予定を立てるときは慎重に。
雪道に慣れていればレンタカーでもいいですが、流石に内地の人にレンタカーは勧めづらいです。
隣駅から歩くのは冬場は遭難の危険性があるのでやめましょう・・・というかそれぐらい厳しいロケーションです。

素晴らしき冬晴れの利尻富士

抜海駅構内

抜海駅構内。2024年㋁時点は行き違いが可能な構造でしたが、2024年9月に棒線化され、行き違いはできなくなりました。

12/30の記事の続き)

前日稚内入りし、天気予報を見ると明日はからりと晴れるという。晴れたらいいね、と思って翌日起きてみると稚内は見事な快晴。というか毎冬稚内に来ますが、ここまで綺麗に晴れ渡った冬の稚内は割と初めてだったりします。それぐらい冬の稚内の晴れ間は非常に珍しいです。

もっとも好天に恵まれすぎたためか、もともとの目的であったJAPAN CUP全国犬ぞり稚内大会が雪不足で中止というのは残念でした。

というわけで抜海駅にやってきました。これまた非常に晴れ渡った姿です。
写真では列車交換可能ですが、2024年9月に工事が行われ、現在は線路一つホーム一つの棒線駅となっています。

表口

抜海駅の表口。意外と近代的。おそらく増築したものと思います。

抜海駅の駅舎は開業時の駅舎が残っており、列車側から見るといかにも古風然とした木造の駅舎しか見えませんが、駅舎の玄関に回ると増築したと思しき白い建物が追加され、アルミサッシになっています。
このあたり列車側と表玄関側で見せる表情が違うのは意外で、結構驚く人も多いそうです。

駅舎内

駅舎内は寒冷地の駅特有の構造。もっとも無人駅でストーブとかはないので、冬に駅寝やると普通に命にかかわるのでやめましょう。

駅舎の待合室内は白を基調として意外と明るめ。北国特有の二重の入り口に雪払いのマット、煙突のパイプなどが北国であることを主張します。
いかにも駅寝できそうな雰囲気ですが、ここは保線区員の詰所も兼ねているため、常に無人というわけではなく、また待合室には暖房もありません。駅寝は絶対にやめましょう。

オロロンラインから見る利尻富士。

オロロンラインから見る利尻富士。駅近くでここまでくっきり見えるには正直奇跡かと。

駅近くには何もありません。
道が伸びており、ここから海辺のほうに向けて10分をほど歩くと北海道道106号稚内天塩線(通称:日本海オロロンライン)の三叉路にたどり着きます。

日本海オロロンラインは、ほぼ全線にわたって利尻富士が見えることで有名な道路で、この三叉路からも上記のとおり綺麗な利尻富士が。
ちなみに利尻富士の下に見える民家などが抜海の中心地にあたり、このあたりまで歩くことになります。だいたい30分程度。
冬の抜海は、都会の装備のまま歩くと地吹雪等であっという間に体温を奪われて命にかかわるため、重装備もしくはタクシーを呼ぶことを推奨していますが、これぐらい綺麗に晴れ渡ると、歩いていっても面白いです。

正直なところこの三叉路付近は丘の上にあり、周りに風を防ぐ建物とかは一切ないので、普通の日は地吹雪が容赦なく人間の体温を奪ってゆきます。このため、よく「真冬に抜海駅から抜海港まで歩いたら遭難する。」と言われますが、それは別に誇張でもなんでもなく、きっちりとした装備が必要です。真冬にここまで晴れ渡るのはある意味奇跡といってもいいでしょう。

この三叉路から抜海の中心地、抜海港に向けて坂を下りていきます。行き交う車は少ないものの、「わ」「れ」ナンバーのレンタカーも見られ、観光客にとっても日本海オロロンラインは有名なドライブコースであることがわかります。

防風柵

抜海の町までほんとんどの区間でこのように防風板がついています。隙間からは利尻富士が見られ、段々大きくなって近づいていることがわかります。

道のりはほとんど雪はありません。除雪がきっちりされているのと、風が強いので雪が降っても全部吹き飛ばしてしまうからです。
一方で風が強い地域なので抜海駅から抜海港に至る部分はこのように大半で防風柵が設置されています。
つるつるの路面なのでスノーブーツでも滑らないようにゆっくりあるいて約40分弱で抜海の集落にたどりつきました。

抜海の集落

抜海の集落。抜海港を中心に広がる小さな漁村です。簡易郵便局もあるので旅行貯金も可能。

抜海の街並みはシンと静まっていました。かつては宗谷地域唯一の不凍港として、利尻方面へのフェリーとかも出ていたそうですが、今は小さな漁村となっています。

さらに道なりに歩いて行くとやがて抜海港に到着します。

利尻富士

抜海港から見た利尻富士の姿。本来ならば手前の消波ブロックにあざらしがいますが、本日は一匹も見当たらず・・・

抜海港は小さな港ですが、冬は野生のゴマフアザラシの大群が港のテトラポッドで休憩する姿が結構有名ではないでしょうか。

この日は自分で見た限りではアザラシの姿は見えず。当たり前といえば当たり前で、こんな晴れ渡った穏やかな日はアザラシは海に出て獲物を追っています。悪天候で避難するために比較的波が落ち着いた抜海港にゴマフアザラシが集結してわけですから、こんな穏やかな日にいるとは思えません。

というわけで、アザラシの姿は見なかったものの、冠雪した利尻富士の姿は非常にくっきり見ることができました。冬晴れの時期は空気が澄んでおり、稜線も非常に明確に確認することができます。
こんな幸運そうそうないぞと思いながら夢中でシャッターを切っていました。

抜海駅に停車した列車

抜海駅とキハ54。すっかりおなじみの光景ですが、2025年3月には駅自体がなくなります。

抜海駅に戻り、キハ54の名寄行きに乗車。昨冬は抜海駅も抜海の集落も比較的ひっそりとしていましたが、抜海駅の廃止が報道されて以降、おそらく廃止の日までに抜海駅を訪問する人が増えるのではないかと思います。
ただし、何度も言いますが、抜海港まで歩く場合は重装備で来ること。たいていの日は風が非常に強く、あっという間に体温を奪われてしまうので。
今回のような風がない晴れ渡るラッキーな日もあるにはありますが・・・

1/3の記事に続く)

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