2014年に名古屋~奈良井間で運転された急行「中山道トレイン」の急行券・指定席券です。
当時のJR東海は特急「あさぎり」から引退した371系電車をそのまま廃車にはせず、JR東海管内の臨時列車に充当していました。この「中山道トレイン」もその一つです。
これ、区間が中津川->奈良井となっていますが、これは理由がありまして・・・
当初、名古屋->奈良井間をe5489で購入していました。ただし、この時点ではA席しか空いておらず、とりあえず購入。
中央西線の特に中津川~塩尻間は基本D席がずっと谷側で、A席が山側なのでやはりD席狙いでずっと粘っていたのですがなかなか出ません。
そのうち乗車当日になってしまいました。
それでもやっぱりあきらめきれず、乗車当日の朝名古屋駅で聞くと中津川~奈良井のみD席が空いているとのこと。
ならばこの区間だけD席に替えてもらう・・・のも考えたのですが、そもそも原券がJR西日本のe5489で、JR東海の窓口でそういう取り扱いができるのか謎。発車時間が迫る中調べる時間もないため、払い戻し予定だった別の特急券を変更扱いで組み込むことに。つまり・・・
「名古屋->奈良井」の急行券・指定席券を、「名古屋->中津川」の急行券・指定席券に短縮 |
別に持っていたきっぷを「中津川->奈良井」の急行券・指定席券に変更 |
として、名古屋->中津川、中津川->奈良井の2枚の急行券、指定席券としています。
ここからかなり難しい話となります。
2014年当時、JR西日本の e5489 で発券した指定席券をJR東海のマルスで払い戻し処理を取り扱うことができなかったため、区間短縮による払い戻しをしようとしてもできませんでした。
このため、JR他社で変更する場合は座席を返却し「払い戻し申し出」と印字したうえで、後日JR西日本の駅にて無手数料払い戻しの処置を実施してもらうのが通常の運用です。
(座席の返却だけは可能ですが、払い戻し操作はできないです。)
ところが、この日は客から「名古屋->奈良井」を「名古屋->中津川」に短縮するリクエスト。通常は席を返却してから取り直さないといけません。
ただ、返席している間にとられる可能性があるため、「名古屋->奈良井」の急行券・指定席券を、「名古屋->中津川」の急行券・指定席券に変更の際、席入(席番入力)と呼ばれる手法を使って指定席を発行しています。
これは、既に指定席発売済の座席を再度発券する方法で、詳しくは割愛しますが既に発売済の座席を再度指定して発売する、いわゆる合法的なダブルブッキングです。本来は座席を維持しながら乗車区間を延ばしたり短縮したりするのに使われ、これによってダブルブッキングで発売したきっぷの右下に「席」マークが入っています。
席入で新たな区間で発売後は、元のきっぷは速やかに払い戻し処理しないといけませんが、今回はJR西日本のe5489での発売のためその場で払い戻し処理ができません。
そこで元の券面に「席入にて席充当のため」と記載して、以前の席の取り消しのみを手動で行い、JR西日本の駅での払い戻しの際に事情がわかるようになっています。
通常はマルスにきっぷを差し込んで自動的に返席処理を行いますが、ダブルブッキングした指定席の返席は自動で行うことができず、きっぷ記載のC符号「C13」を手入力して手動でキャンセルします。
名古屋駅の駅窓口のスマートな処理に少々驚きながらも、希望通りのきっぷができてほっとしました。
現在はe5489で発券したきっぷをJR東海の窓口で払い戻し可能です。
やっぱり谷を眺めたい
さて、無事きっぷを購入して名古屋駅ホームに上がると「中山道トレイン」は既に入線していました。
371系は7両編成ですが、真ん中の3号車4号車が2階建てとなっており、2階がグリーン車、1階が普通車指定席となっています。今回、名古屋->中津川が3号車1階、中津川->奈良井が4号車1階席となりました。
で、その1階席ですが、席番が50番台となるため、マルス上の券面上の席番が53番、54番とかなりのインフレナンバーとなりました。現在に至るまで、マルスで50番台の座席は他ではみかけないのではないのかなと思います。
普通車ですが、階下で車体幅の関係上1+2のリクライニングシートが並びます。A席が1人席、CD席が2人席となります。
シートピッチ1100mmは東海道新幹線普通車の1040mmを越え普通車では最大級。もっとも景色がよろしくないというのはあったので、その分豪華装備になったという側面もありそうです。
中津川までは一人掛けのA席でゆったり。オレンジの帯をまいたステンレス車体が多いJR東海の在来線では、新幹線をイメージした白とブルーの車体は明らかに異質で、各駅で目を引いていました。
中津川でA席からD席に移動。1階席ではあるものの、ここから先はD席側に木曽川の車窓が広がります。
既に紅葉が始まっている木曽路の山々は美しく車窓に見入っていました。
寝覚の床付近は減速して案内放送が。やっぱり無理してでもD席を確保してよかったと改めて感じます。
上松で後続の「しなの」待避のため、長時間停車。みんなホームに出て思い思いに車両の撮影をします。
改めて車両先頭に行きましたが、「NAKASENDOTRAIN371」のヘッドマークが掲げられていました。JR東海のイベント列車は、現在もそうですが、列車名を表示したヘッドマークが掲げられることが多く、撮影しがいがありまね。
平成のバブル期に登場した371系ですが、改めて車体を眺めると車体が凸凹になっているところもあり、改めて月日の長さを感じさせてくれます。
それでも木曽路の美しさは今も昔も変わらず、上松を発車してもひたすら車掌にくぎ付けになったまま、終点の奈良井に到着しました。
なお、「中山道トレイン」は主に毎年10月~11月頃に運転され、371系引退後は383系、373系で運転されていましたが、2020年度の運行を最後に以降の運転はありません。コロナ渦も過ぎた2023年に運行の期待もありましたが、設定はされなかったようです。
奈良井宿の秋
奈良井駅に到着。奈良井駅はJR東海でもっとも標高の高い(934m)駅です。駅前からは奈良井宿の宿場街の街並みが広がっています。若干観光地化されすぎのきらいもありますが、東京や名古屋から適度に距離があることもあって、混み過ぎず静かすぎず、しっとりした雰囲気が楽しめるのがこの奈良井宿ではないでしょうか。
11月の奈良井宿は標高が高いせいか若干寒く、日向が恋しくなるものの色づいた山々の木々が美しいです。
ならば、と奈良井宿を抜けて中山道をたどって藪原まで歩くことにしました。
藪原に向かう途中にある鳥居峠は中山道一番の難所と言われ、藪原と奈良井の間に立ちふさがるようにありました。国道や中央西線はトンネルでぶちぬいていきますが、江戸時代は山越えしたものです。
ちょっと寒い天気ですが、ウォーキングには逆に絶好の天気。鳥居峠に向けてずんずん進んでいきます。
もっとも、奈良井~藪原だけならば、休みなしで歩いて2時間程度。ウォーキングの感覚で行っても差し支えなく、歩きやすい恰好ならばそれほど苦労することはないでしょう。途中の鳥居峠の碑が見えたらあとは基本下り坂になります。
藪原の街並みに入るとちょっと迷うかもしれませんが、案内板は完備されているので安心です。
藪原駅からは松本行きの普通電車に乗り換え、2時間かけてきた道を、奈良井までわずか5分足らずで戻ってきました。つくづく文明の利器というものは凄いですね。。。
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