「京都市内~松阪」普通乗車券(紀の国トレイナート2014)

京都市内~松阪の乗車券

京都市内から松阪への乗車券です。
通常は京都から松阪まで近鉄特急が直通しているので、近鉄利用が定番です。

またJR西日本は南紀方面のトクトクきっぷを出すことが多く、それを使うことが多いのですが、今回なぜわざわざ普通乗車券を用意したかというと、紀の国トレイナート2014のためでした。

紀の国トレイナートとは、和歌山県内の紀勢本線南部の駅舎や列車をアートに見立て、トレイン×アートをかけて「トレイナート」と呼ばれています。
この記事にある2014年秋に初めて実施、以降コロナによる中止もはさみながら2021年まで毎年秋に実施されていました。

そんな中、JR西日本ではトレイナートにあわせた臨時列車を運行していましたが、その中でも顕著なのが臨時列車「紀の国トレイナート号」です。
毎年運行期間や時刻は変わっていきましたが、この2014年の頃は手探り状態だったのですがだんだん慣れてきたのか最後の頃はかなり派手になっています。

旅の始まりに駅弁を

京都から快速に乗り、新大阪から2023年2月13日にうめきた新駅開業に伴う地下化される新大阪~西九条の連絡線を通る快速湯浅行きに乗り換えると、和歌山には8時頃に到着します。
和歌山駅でホームに降り立つと、目の前で水了軒の立ち食いうどん屋が営業中。駅弁も販売していたので、朝食に一つ購入してみました。

梅ちらし弁当

朝だし軽めの駅弁にしよう、と購入したのが梅ちらし弁当。です。

梅ちらし弁当中身

中身はちらし寿司に和歌山特産の紀州梅を混ぜたヘルシーな弁当。ちょっと軽いかな?と思ったのですが、この後を考えると正解でした。

最近はホームでの駅弁売りはめっきり減ってしまいました。
2014年当時はホームの駅弁売りをやっていた和歌山水了軒もホームからはうどん屋とともに撤退。
現在は駅ビル内に店舗を構えて営業しています。

さて購入した駅弁はちらし寿しに梅を混ぜたもの。やや物足りないかな、と思ったのですが、この後考えると正解でした。

和歌山でしばし待つと、やってきたのは五条始発の和歌山行き。和歌山で終点ですが、この列車がこのまま紀伊田辺行きに変わるということで乗り続ける人もちらほら。
自分も乗車しました。

和歌山駅に入線した117系

紀伊田辺行きは117系が使用されていました。五条始発和歌山行きでしたが、これが和歌山到着後そのまま紀伊田辺行きに化けます。

車両は117系。かつて京阪神の新快速として運行されていた車両で、福知山線に転属後、和歌山にやってきました。
車内は一部がロングシートになっていますが、2ドア転換クロスシートになっています。

和歌山を定刻に発車。海南を過ぎるといきなり海が見えてくるのでこの後の期待が持てますが、このあとはしばらくおあずけを喰らうのが、この紀勢本線のいやらしいところです(笑)
和歌山発車時にはほぼ地元民のみで旅行者はほぼ皆無でしたが、再び海が見えてくる岩代あたりから客層に変化が。

切目~南部間

切目~南部間は海岸沿いを走り注目のビューポイントとなっています。

南部ではどう見ても行楽客とか、なんたら観光協会とかどう見ても普段使いとは違う人たちが大量に乗車、一気ににぎやかになります。

列車は終点の紀伊田辺に到着・・・が、列車の方向幕を見上げると「新宮」に。列車は運転を継続し、そのまま「紀の国トレイナート号」に変身しました。
列車ダイヤ上は岩代始発だったのですが、実際のところは和歌山(実際は五条)始発で、紀伊田辺行きだったのが途中でなし崩し的に新宮行きに化けるという、わけのわからない運用をやっていたようです。
定期列車の一部区間をイベント列車に仕立て上げ、さらにそのまま臨時延長する形という運行です。この結果、事実上五条発和歌山経由新宮行き(?)という117系でも屈指の長距離列車の誕生です。

客層は完全に入れ替わり、行楽客一色に。

朝来駅

朝来駅では、ベンチが塗られていました。これもアート作品。さらに向かいにはキヤ141が登場。

トレイナートの言葉のとおり、各停車駅では様々な駅舎アートが見られます。
朝来駅ではホームのベンチが塗られていました。朝焼けをモチーフにしたものです。。。と向かいには、キヤ141(ドクターWEST)が停車中。
思わぬ組み合わせとなりました。

紀伊富田駅のアート

紀伊富田駅のアートは駅舎に影絵アートが。駅舎内はチョークアートがありました。

白浜駅を過ぎ、次の紀伊富田では駅舎に影絵アートが。さらに紀伊日置駅では駅舎内に影絵を使った八咫烏のアートが。
こんな感じで、停車駅ごとにいろいろ趣向を凝らしたアートが繰り広げられます。
当然のことながら各駅の停車時間は長くとられ、後続の特急にどんどん抜かれます。

車内のカフェラテ販売

車内ではカプチーノ店が登場。カプチーノのミルクでイラストを描くもので、これもアート作品の一つ。

カプチーノ

カプチーノのアートは白浜アドベンチャーワールドの人気者の双子パンダを選びました。揺れる車内で描かれたパンダはまさに芸術。

各駅で町の観光協会の人たちも乗り込み、記念品やお土産を配り、いよいよイベント列車らしくなってきました。
さらにエスプレッソマシンを車内に持ち込み、カプチーノ店がオープン。
これも立派なアート作品。双子パンダをえらびましたが、これは白浜アドベンチャーワールドで2014年に誕生した双子パンダ「桜浜」(おうひん)「桃浜」(とうひん)をモチーフにしたものだそうです。

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車内の様子

気が付くと車内はカオスな状態に・・・

気が付けば117系の車内はかなりカオスな状態になってきました。
車内の中釣り広告は全部差し替えられ(しかも客が持ち出し自由・・・)車内にはいろいろ怪しげ(?)なものが散乱。「芸術は爆発だ」は某偉い芸術家のセリフですが、なんかそれに近い様相です。

橋杭岩

もちろん景色はいつも通り。117系で見ると橋杭岩もちょっと新鮮です。

アートの遊び心満載の「紀の国トレイナート」ですが、当然ですが自然には逆らえず名所ではやっぱりみんなそっちに心が持っていかれます。
そんな名所の一つが串本を出てすぐにある橋杭岩。海から岩が付きだしたような地形は何度見ても不思議で、まさに「天然のアート」でしょう。

湯川駅の謎の部屋

湯川駅のホームのはずれにはぽつんとただずむ部屋が・・・

もちろん駅アートはどんどん続きます。駅に描かれたりするものもあれば、湯川駅のような造形作品も。
湯川駅は海に面した駅ですが、ここのホームに積み木で作った茶室が作られました。規則ただしく積み上げられた積み木の隙間から海を見ることができ、不思議空間を作り出しています。

那智駅で小休止

那智駅で小休止中の117系新宮行き。

湯川駅を発車すると紀伊勝浦を通過(!)して那智駅へ。流石に行程の最終になり、乗車している人もかなり疲れの色が見えてきました。
改めて今まで乗ってきた117系を見てみましたが、このスカイブルーの塗装は海沿いの紀勢本線にピッタリな塗装だな、と思います。

終点新宮もアート作品が展示。でも客は降りるそぶりは見せません。なぜかというと、新宮を発車すると、列車は客を乗せたまま新宮駅の洗浄線(車両の洗車を行う場所)に突入していきました。。。
最後までネタ列車に徹した117系に拍手。

新宮到着

新宮到着後、方向幕は回送ですが、このまま客を乗せたまま新宮駅の洗浄線に突入していきます。

なお、この「紀の国トレイナート号」はこの117系のほか、105系でも運行されていました。117系や105系引退後も、225系227系で毎年秋に運行され、どんどん派手になっていった印象です。

一応2021年で「紀の国トレイナート」はフィナーレを迎えていますが、こういう楽しい列車はまたやってほしいなと思います。

2/13の記事に続く)

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