ハローキティ和歌山4号指定席券

「ハローキティ和歌山4号」乗車券・指定席券

指定席券と同時使用の乗車券
指定席と同時使用の乗車券です。専用のスタンパーがかわいい。

前回の記事の一番最後の写真でハローキティの車両が映っていましたが、今回はその「ハローキティ和歌山4号」の乗車券・指定席券です。

この「ハローキティ和歌山」は2014年秋に行われた和歌山ディスティネーションキャンペーンの一環として、期間中、週末を中心に串本~新宮間を1日2往復していました。
列車名にハローキティが出てくるほか、スタンパーも専用のハローキティ絵柄のものを準備、スタンパーにわざわざ許諾権マークまでつけているという凝りようです。(つまりサンリオ公式許諾済ということ)

シリーズ型ハイブリッド車両「Smart BEST」

Smart BEST
ハローキティラッピングされた「Smart BEST」DGBC2系です。

「ハローキティ和歌山」に使用された車両は、JR西日本の営業列車では初のハイブリッド式車両である「Smart BEST」です。SmartBESTは、車両メーカーである近畿車輛が開発した試験車両になります。

この車両はJR各社で登場した、エンジンとモーターを併用したハイブリッド車両で、ディーゼルエンジンで発電してモーターで駆動するいわゆるシリーズハイブリッド形式の車両にカテゴライズされています。
自動車でいうと日産のノートに見られる「e-POWER」シリーズがそれにあたり、鉄道車両ではJR東日本の「リゾートしらかみ」などで使用されるHB-210系などと同系統です。

ただ、「Smart BEST」は日産ノートやHB-210系と決定的に異なる部分があり、それはエンジンが速度と関係なく起動したり停止したりする点です。
通常は停止中、発進や低速巡航時はエンジンを切って、バッテリーの電力のみでモーターを動かし、加速するとエンジンがかかるスタイルが一般的です。
ところが「Smart BEST」はそことはかなり異なり、もともとはバッテリーで動く電車にバッテリーが足りなくなったらエンジンで補充しようという考え方です。
ベースは純バッテリー電車「ameri TRAM」で、そこから発電エンジンを追加したのがこの「Smart BEST」になります。
このため、どちらかというとバッテリー駆動の電車である、JR九州の「DENCHA」BEC819系電車や、JR東日本の「ACCUM」EV-E801系電車に、発電エンジンをくっつけた、というほうが適切のような気がします。(自己充電型電車、地産地消電車と呼ばれることもあります。)

通常のハイブリッド型車両よりエネルギー効率がよく、さらに車両としてもほとんどが電車なので、メンテも電車と共有できたりといいことづくめのような気もします。しかし、基本的にバッテリー駆動の電車なので、大容量のバッテリーが必要となり、さらに従来のディーゼルエンジンよりは小型で済むとはいえ、発電用のエンジンに駆動用モーターが必要と、重量がかさんでさらに高価となってしまうという、致命的な欠点を抱えています。
このためか、このタイプの車両は今のところ「Smart BEST」のみにとどまっています。
営業運行したJR西日本も以降のハイブリッド車両(トワイライトエクスプレス瑞風)は、通常のシリーズ型ハイブリッド車両になっています。

回路構成
車内のモニターには現在どのような形で運転されているか、回路図がでています。

車内のモニターには現在どのような状態で運転されているのか出ています。
上記の画像はディーゼルエンジンの発電機が稼働状態のもので、エンジンで電気が供給され、バッテリーに格納され、モーターで動くのがよくわかります。

車体側面
車体側面にもハローキティのイラストが和歌山の名所とともに入っています。写真は橋杭岩をモチーフにしたもの。

SmartBEST の車両はDGBC2系と呼ばれています。もともとは試験用車両だったのですが、一般の営業運転にあたって内外装ともに改造されています。
外装はハローキティのラッピングが入っています。225系をベースにした3ドア車両ですが真ん中のドアは使用しません。

内装
内装です。海側がベンチシート、山側が転換シートが並びます。

内装も本列車向けに改造され、海側は海を一望できるベンチシートとなり、さらに閉鎖された中央ドア付近は腰掛が設置されています。海側シートは座席指定されておらず、乗車した方が自由に利用できます。
一方山側は転換クロスシートが並びます。指定席はこちらのみです。

内装-山側
山側は転換クロスシートが並びますが、中央の閉鎖されたドア付近もシートが並び、ちょっとした謎空間になっています。

転換クロスシートのシートカバーにもハローキティが登場。和歌山の観光地の紹介を行っていました。
ただ、閉鎖されたドア付近もシートを設置したため、眺望が極端に悪い座席も登場。
海側の展望シートに座ればいいので実害は少ないですが、混雑時はどうなるんだろうなあ。

このSmartBESTですが、他の車両に見られない独特の走行音です。
ベースは電車なので、電車の走行音がメイン。しかし、バッテリーが少なくなると自動的にディーゼルエンジンが稼働して充電を行います。このタイミングはだいたいバッテリーの残容量で決まっているようで、少なくなったときは停車中だろうが走行中だろうがお構いなしにエンジンがかかります。(もっとも一番電力を使うのは加速時なので、やはり加速のときにエンジンがかかる確率が高いようです。)

海を臨む
海が広がる区間はやはり海側を見たくなりますね。

景色はついさっき新宮行きで乗車した区間を戻っているので、まあ見慣れた区間なのですが、やはり海沿いを走行すると見とれてしまいます。

だいたい1時間程度で串本に到着。ちょうど新宮行きの列車があったので、その列車で折り返しました。

105系トレイナート
こちらは105系で運転された「紀の国トレイナート号」です。

車両は105系の「紀の国トレイナート」号。ブルーの車体にラッピングが施された編成が使用されていました。
こちらは普通の電車。慣れって不思議なもので、さっきの「SmartBEST」がやや聞きなれない音の出方をしていたのに対し、こちらは普通のモーター音。
なぜか少しホッとしてしまいました。

なお、SmartBESTは2015年に廃車されています。
一応2012年の登場時は10年後の実用化をめざすとありますが、特に音沙汰はありません。やはりコスト面が不利なのは否めないです。
JR東日本も最近の量産型の非電化向け車両は、ハイブリッドよりもコストが安い電気式ディーゼルを志向しています。もっともバッテリーのコストが安くなったら再びハイブリッド車両に注目が集まるかもしれませんね。

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