寝台特急「あさかぜ」の立席特急券です。
寝台列車は文字通り夜間を走る列車ですが、運行距離によっては「寝るだけ」の時間ではなくもっと時間がかかる列車があります。
「寝台として使用する時間」は列車ごとに通達で決められるようになっていますが、旧国鉄ではおおむね20時から6時までを寝台の使用時間とし、19時から20時、6時から7時をベッド組み立て、解体の時間に充てて夜は19時より前、朝は7時以降に座席車として開放する場合がありました。これを一般的にヒルネと呼んでいます。
2024年現在、「サンライズ出雲・瀬戸」で朝6時までに列車が運行取りやめになった場合、寝台料金が全額払い戻されますが、これは寝台の使用時間が6時まで、という国鉄時代考えを今に伝えるものです。
また、昔は係員が乗り込んでベッドの組み立て・解体が行われており、平成の世まで行われていました。(→急行「あおもり」急行券・寝台券)
朝の時間帯は「立席特急券」夜の時間帯は「指定席特急券」が原則で、上記の理由から朝は7時以降、夜は19時までが原則でしたが例外もあり、たとえば「あけぼの」などは並行する在来線昼行特急がないため昼行特急の肩代わりとして運行されており、夜遅いのに「ヒルネ」扱いだったりしました。
この「あさかぜ」については、上下ともに廃止まで広島~下関間がヒルネ区間として「立席特急券」が発売されていました。おそらく広島で寝台客が乗降することが多いのを加味してこのようになっているのでしょう。
のんびりと山陽路の旅
2004年、「稚内⇔西大山」往復乗車券使用時の旅行で引き続いて登場するのは、下関発東京行き寝台特急「あさかぜ」のうち、下関~広島間のヒルネ利用になります。山陽新幹線で直接帰るのも味気なかったので、ちょっと立ち寄ってみました。広島から新幹線で京都に戻ったので乗継割引が適用され、特急料金が半額になっています。
16時台の下関駅は、8月ということもあって夕方にはまだ早く。残暑が照り付ける暑さです。そんな中、「あさかぜ」がこれまた2022年に全機引退した国鉄型EF66牽引で24系25形客車9両を従えて入ってきました。
下関「あさかぜ」で特徴的だったのはラウンジカーとともに連結された、オハフ25-301。この車両は、寝台の一部を荷物スペースにしたもので、旅客用ドアと荷物用ドアがあるのが特徴です。
この「荷物」とは「ブルートレイン便」のことです。
ブルートレインの空きスペースを利用して荷物を運ぶサービスが行われていました。通常は電源車の一部が荷物スペースとなっており(カニ24、など)ですが、「あさかぜ」については電源車が通常連結されていません。
特に「あさかぜ」については東京~岡山・広島の需要が大きかったようで、わざわざ既存の寝台車を改造して荷物室を設置したのでした。なんせ夜だせば明日早朝には東京駅に着いているので、宅急便より早かったりします。
寝台でごろんと横になったり、時折見える瀬戸内海を眺めながらすっかり暗くなった広島駅に定刻で到着しました。
2024年の「ヒルネ」事情
さて、この下関~広島のヒルネですが、2024年思わぬ形で復活しています。
言わずと知れたWEST EXPRESS銀河です。
2024年10月~2025年3月は山陽コースとなりますが、このうち、広島~下関間は乗り降り自由です。
・下関行き:広島6時51分発、下関10時50分着
・京都行き:下関19時43分発、広島23時43分着
京都・大阪~広島といった利用が多いせいか、広島~下関は割と空席が出ます。手軽に楽しむにはいいかもしれませんね。
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