山陰地区を中心に走る観光列車「あめつち」のグリーン券です。通常、「あめつち」鳥取~出雲市間を中心に、米子~出雲坂根間、鳥取~城崎温泉間を結びますが、10/6、7の2日間のみは、岡山県北部の「森の芸術祭」関連で、スペシャルバージョンとして「あめつち~森の芸術祭~」として鳥取から因美線経由で津山との間で運行されました。
券面には「あめつち~森の芸術祭~」と列車名に「森の芸術祭」が出ています。考えてみれば「森の芸術祭」が列車名に出てくるのはこの列車のみですね。
山を越えて津山にあめつち見参
鳥取発9時発というのは少々早め。京阪神からだと「スーパーはくと1号」でも間に合わず、「スーパーいなば1号」を使うしかありません。もっとも智頭から乗ってきた人も多かったので、「スーパーはくと1号」から智頭で乗り換えた人もいるんじゃないでしょうか。
キハ47の2両を改造して登場した「あめつち」です。JR西日本はキハ40系列を改造した観光列車が6本ありますが、特急になるもの、グリーン車になるもの、指定席になるもの、自由席のままなど改造後はいろいろありますが、どの列車も基本的に前面は手を加えておらず、改造元がまるわかりですね。(笑)
鳥取を定刻に発車。もっとも次の津ノ井駅で対向列車待ち合わせのため停車。このあたりは臨時列車の悲しいところです。
津ノ井駅を発車すると、ほどなく郡家駅。郡家駅で早速長時間停車となり、イベントになります。
郡家駅では特産の柿の試食。そして、郡家中北連によるパフォーマンスを披露。こちらも手拍子をしながら、柿を食べながら(笑)演舞に魅入ります。
柿のおかわりもらって列車に戻り、発車。このあとの途中停車駅は智頭のみであとは津山までノンストップです。
しかし今回車内で観光ガイドを務める就実大学人文科学部総合歴史学科特任教授 小西伸彦氏によるガイドがあまりにもdeepすぎ。
因美線全駅の成り立ちや、キハ40について、キハ・キロの違い、南勝線の話、JR西日本のローカル線で見られる25km/hの話など、鉄分多めの話題がこれでもかとばかりにマシンガントークが続きます。流石に気になったので経歴を調べると
・産業遺産学会理事長
・鉄道記念物評価選定委員
要するに鉄道史が専門の方でした。そりゃ話がdeepになるわ(笑)
流石に話すのが仕事なだけあって、よくある素人観光ガイドなんかと比べると、ある程度鉄分のある人には非常にわかりやすかったです。
逆に鉄分ゼロな人がどんな感想を持ったのか気になるところ。
智頭を過ぎ、那岐を越えると本格的な山越え区間に差し掛かります。県境のトンネルを越えると谷間を列車がゆっくりと降りていき、美作河井駅に到着。すかさず小西氏が美作河井駅に保存されている転車台の説明が。小型の40フィート転車台は明治30年以前のものと推定され、イギリスから輸入された最古の転車台と言われています。
現在、製造年度がはっきりしているもので最古の転車台は明治30年の大井川鉄道千頭駅の転車台ですが、50フィートとやや大型のため、こちらの美作河井駅の40フィート転車台のほうが古い可能性が高いです。
そこから先は山里を降りていくような感じで進み、高野駅で津山市街に入って賑やかになったなと思ったら終点の津山駅です。
列車は「津山まなびの鉄道館」方面に引き上げられ、展示されていました。
様々な鉄道展示
津山駅では最近エレベーター設置に伴うこ線橋が建設され、従来の地下通路は廃止されました。しかし、その廃止された地下通路を使ってミニ鉄道展示が。入場は津山駅に有効な入場券、乗車券を持っていれば誰でも入れます。
ミニといっても展示物は、バラストにマスコンにATS地上子・・・なんですか、小西氏に負けず劣らずdeepな内容は(笑)
標識類も展示。4とか2とかは列車停止位置を示すもので、「4」だと4両編成の列車の停止位置、「2」だと2両編成の停止位置を示します。この標識から到着する列車のドア位置が推測できるため、座席確保には必須の知識かもしれません。
一方「鹿」標識は、いわゆる車でいう「動物注意」の看板。もっとも鉄道は鹿が飛び出しても急には止まれませんので、「始」の標識位置から「終」の標識位置まであらかじめ徐行します。このため「鹿徐行看板」と呼ばれます。
展示品がいちいちマニアックです(笑)
さて、津山というと隣接して「津山まなびの鉄道館」がありますが、10/5、6と夜間開館が行われました。
扇形車庫に入った車両がライトアップされ、昼間とは違った光景が見られます。夜間展示はどちらかというと写真を撮る人が多く、全体を俯瞰できる場所では三脚を使った大勢のカメラマンがいました。
キハ181とキハ52もいます。なお、一部の車両は扇形車庫から引き出されていました。それはなぜかというと・・・
「森の芸術祭」関連で、扇形車庫の窓がアート作品になっていたためでした。
なんかステンドグラスというかシャボン玉の色というか玉虫色というか、光の反射で不思議な色彩を放っています。
正直アートについて語るのは自分にはとても無理ですが、とりあえず視覚、聴覚、触覚に訴えられて心に残ったのならばそれがアートというものではないでしょうか。
逆に意識しないのが日常というものなのでしょう。
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