宇奈月駅から猫又駅までの黒部峡谷鉄道の往復乗車券です。
能登地震の影響で猫又~鐘釣間の東鐘釣橋が損傷し、通常は欅平までの運行が猫又までの短縮運行となっています。
なお、この猫又駅は関電の関係者(主に黒部第二発電所関連)のみが下車でき、一般の人は降りることはできません。
このため日本唯一の「猫」が付く駅にもかかわらず、きっぷが作成できないのですが地震による短縮運行の影響で猫又行きが登場、そしてきっぷにも猫又の文字が登場し、一般向けとしてはきっぷ初登場となりました。
なお、猫又駅で下車はできずこのまま折り返しとなります。このため、猫又へは往復乗車券か、帰りの猫又発のきっぷを必ず事前に購入して乗車する必要があります。
券面は通常の欅平のフォーマットと同じ。ただし、猫又で下車できないため「ご乗車のままで折り返しとなります」の文字が入ります。
また、乗車券とは別に黒部峡谷鉄道では「乗車整理券」が必ずついてきます。黒部峡谷鉄道は必ず乗車列車・号車は事前に指定するきまりのため、ついてきます。
ただし、「乗車整理券」であって「指定席券」ではないので、座席の指定はないので、号車内の座席は基本的に早い者勝ち。宇奈月~猫又間は基本的に全線右側が渓谷側となるため、知っている人は早めに改札に並ぶようです。
硬券もあります。黒部峡谷鉄道が発行した本物の硬券ではありますが、裏に「無効」の文字が入っており、実使用はできません。つまり、お土産屋さんなどで売られているおもちゃのきっぷと同じ扱いではあります。
なお、販売は駅舎向かいの黒部川電気記念館となります。
黒部川電気記念館では、猫又駅タオルなど猫又に関するグッズも売られていました。
れっきとした本物の硬券なのですがなんか違和感が・・・???と思ったら、日付が入っていない。
やっぱり日付あっての硬券だよね。ハサミが入っていれば完璧ですが。
ハサミといえば黒部峡谷鉄道の現行のきっぷもきっちりハサミが使われており、2枚あわせてパチンとM字にきっぷに入れられました。
夏の黒部峡谷
改札を抜けてホームに入るとこぶりの機関車を先頭に13両の客車を連結。もっとも13両といっても「トロッコ列車」と言われるぐらいの車両なのでかなりこぶりです。
普通車は窓がなく、ベンチが置かれたもので、晴れている日は窓があるリラックス客車よりこちらのほうが展望面ではいいかと。逆に雨が降ると最悪ですが。
本来はベンチに4人座れる設計ですが、コロナ渦の影響からか3人で座れるように定員設計を行っている模様で、満席だったにもかかわらず比較的ふったりとしていました。
1号車は機関車の真後ろとなります。猫又からの帰りが1号車が最後尾になります。
宇奈月駅を出るとすぐに新山彦橋を渡って渓谷は右側に。宇奈月ダムは木々に遮られてなかなか全貌を見ることは難しいですが、かなり規模の大きなダムです。
柳橋駅で宇奈月行き列車と交換。ここは円形の建物で有名な新柳河原発電所の最寄りですが、普段ここで降りる人はあまりみません。
列車はどんどん川を上っていきます。宇奈月出た段階で気温35度とかなり熱く、走行中もぬるい風が吹きつけますが、途中のトンネルではひんやりとしており、まさに「天然のクーラー」
渓谷沿いとトンネルを繰り返して上っていきます。
黒薙駅で停車。ここは宇奈月~猫又間で唯一一般客が下車できる駅で、駅員が配置。黒薙温泉へはここで下車します。
黒薙駅を出るとすぐによく風景写真でも出てくる後曳橋で、高さ60mは大井川鉄道の関の沢橋梁には及びませんがそれでもかなりの高さを実感できます。
黒薙駅付近は黒部川の支流にあたる黒薙川沿いにありますが、トンネルを抜けるとまたしても黒部川本流沿いを走行します。
出平駅手前で出し平ダムが登場。ここではダムに溜まった泥を排出することができ、主に増水時の放流の際に水と一緒に排出するそうです。
出平駅近辺は狭いながらも平地があり、出平駅は側線もあるやや広めの駅です。(ただし、関電専用のため一般客は下車不可)
ここで工事関係者専用列車と交換。
やがて、右側に発電所が見えてくると終点の猫又駅はすぐそこです。
手前に赤い橋がありますがこれが目黒橋。猫又駅からの支線が伸びており、発電所まで資材を運ぶそうです。
当たり前といえば当たり前なのですが、この地域に道路なんてなく、黒部峡谷鉄道が唯一の輸送手段です。このため、宇奈月~欅平だけでなく、縦横無尽に線路が伸びています。
宇奈月から約50分で終点の猫又駅に到着。もっとも一般の乗客は降りることはできず、そのまま折り返すことになります。
約2分の停車時間の間に、先頭の機関車を切り離し、最後尾にあらかじめ準備していた機関車を連結すると、すぐに出発進行。
乗客は座る向きを一斉に変えます。普通車は背もたれなんかなくただのベンチなので、向きを変えるのも簡単。
猫又駅は東鐘釣橋復旧の前線基地になっているようで、テントなどが張られていました。
帰路は1号車は最後尾になります。行きは目の前にいた機関車が今度ははるか先。
小さなトロッコ車両とはいえ、13両もつなぐと結構な長さとなります。途中のカーブ地点では先頭の機関車や直後の客車がうねうねと壁を這うように走行している姿はなかなか興味深いものがありますね。
行きの行路をそのまま折り返して行き、約50分後終点の宇奈月に到着しました。
さながら100分2820円のアトラクションといったところでしょうか。
(8/2の記事に続く)
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