快速「ゆふいん」の指定席券です。GWなど繁忙期に、輸送力が不足気味の由布院方面を補完する列車として行きは鳥栖→由布院間、帰りは由布院→久留米間で運行されています。
もともと車両は「SL人吉」で使用されていた車両でした。

しかしSLが引退してしまい、2024年3月に「SL人吉」の運行は終了。しかし客車は健在なので、多客臨として2024年のGWから「快速ゆふいん」として運行されるようになっています。
当初このとき限定のスペシャルトレインとみられていましたが、普通に多客期に運行されるようになったため、多客期の輸送力列車として扱われているようです。
きっぷは「快速ゆふいん」と列車名に「快速」と入るのはちょっと面白い。由布院~久留米の停車駅は途中日田のみで、特急以上に停車駅が少ないですが客車列車ということもあってかなりのんびりと走るため、同区間を走る「ゆふ」よりも30分ほど余計にかかります。
指定席料金は1680円。これってSL料金と思ってたのですが、SLじゃなくてもこの料金なんですね・・・。同区間の「ゆふ」の自由席(1200円)よりも480円も高いので、安さで選択する列車ではなく、純粋に他のチケットが取れない人向け、もしくは客車を愛する鉄ヲタのための列車なのでしょう(笑)
由布院のネームバリュー
(5/19の記事の続き)
「ゆふ4号」を降りると、すでに「快速ゆふいん」が客待ち中。そして真ん中に「或る列車」が。由布院駅がかなりにぎやかです。
繁忙期には由布院から博多方面に下記の列車が運行されます。
特急ゆふ2号
由布院9:08発->博多11:20着
特急ゆふいんの森2号
由布院12:01発->博多14:19着
特急いちろく
由布院12:27発->博多15:47着
特急ゆふ4号
由布院14:15発->博多16:31着
快速ゆふいん
由布院14:40発->久留米16:55着
或る列車
由布院15:00発->博多18:03着
特急ゆふいんの森4号
由布院15:56発->博多18:10着
特急ゆふいんの森6号
由布院17:17発->博多19:28着
特急ゆふ6号
由布院19:26発->博多21:34着
もちろん「特急ゆふ」以外は運転しない日もありますが最大9本もの列車が観光客を乗せて博多方面に走ってました。
つくづく「由布院」の吸引力には驚かされると同時に、決して本数を多く入れられない久大本線にこれだけの列車を詰め込んだな、と感心するばかりです。
「快速ゆふいん」は「ゆふ4号」と「或る列車」の間に詰め込んだ感じです。
実際「快速ゆふいん」に乗車してみると、後から「或る列車」がおいかけてくるようなダイヤで、日田で長時間停車中に「或る列車」が追いついてきましたし、久留米到着後ほどなくして「或る列車」がやってきましたので、まさにギリギリのダイヤに詰め込んだような感じですね。
3番ホームに向かうとすでに列車は入線済。「或る列車」と仲良く並んでいます。「或る列車」はキハ40。そして「快速ゆふいん」はDE10+50系客車による運行。両方とも中古車両の改装ですが、魅力的な車両に仕上がっています。
「快速ゆふいん」の乗車率は3割程度。臨時列車で博多に行かないことからかなり空いており、空きボックスこそほとんどないものの、ボックスにいるのは1人~2人のみという区画がほとんど。たまにグループ客もいます。そして、鉄分の多い方がやっぱり多いかな、と。
側面には最近ほとんど見かけなくなった行き先案内板(サボ)が健在。客車列車ということもあってかなり魅力的に仕上がっています。
しばらくすると静かに発車しました。客車特有のエンジンやモーター音のないスーっという滑り出しです。
最近の鉄道は加速が鋭い車両が多いですが、「快速ゆふいん」は客車列車なので加速はゆっくり。またスピードそのものも、久大本線ということもあって60km/hぐらいと坦々とした走りです。
最後部の展望室にいくと流れる景色が見られます。乗車率が少ないせいか展望室も常駐している人はなくのんびりムード。
ガラガラの車内で、気温も25度近くまであがり4月としてはかなりの行楽日和。50系客車は窓が開くので各所で窓を開けて外の風を受けている人多数。
自分も窓を開けてみます。あまりスピードでないので心地よい風が吹き込みます。モーター音やディーゼル音がなく、タタン、タタンと客車特有のリズムを、この令和の世の中で楽しめるとは予想だにしませんでした。
「空いていれば」ですが、かつてのローカル客車列車の雰囲気を楽しめるのではないでしょうか。
もっとも完全に定番列車になったからここまでのんびりとした雰囲気を味わえるのであって、例えばJR九州が引退とほのめかしたりしたら、状況が一変しそうな気もします。
豊後中村で「かんぱち・いちろく」を使用した「かんぱち」と交換。豊後森も通過、そして天ケ瀬も淡々と通過していきます。天ケ瀬は温泉街が見えましたが、名物?の川べりの露天風呂は見えません。また由布院と比べてもひなび度が半端でないので、温泉目的なら湯平と並んでおすすめです。
もっとも最近は湯平も由布院のすぐ近くということもあって、インバウンドなどの進出が盛んなんだとか。

日田でしばらく停車。ということで、簡単な撮影会が始まります(笑)
由布院では編成写真は難しいのですが、日田は簡単に取れます。
特にイベント等はなく単純に時間調整のようで、しばらく停車していると後続の「或る列車」が追いついてきました。片方は50系の改装、もう片方はキハ40の改装と両方とも中古車両の改造です。
豪華さは圧倒的に「或る列車」ですが、空いていれば「快速ゆふいん」ののんびりとした客車列車の旅も悪くはありません。(ちょっと負け惜しみ?)
停車中に車内を見て回ります。
ビュッフェカウンターは無人。あらかじめ車内販売はないと告知されていたものの、ちょっと寂しい気が。これも「快速ゆふいん」を繁忙期の輸送力列車としてみなしている節が見られます。
座席は2人がけシートと4人がけシートがあわさったこの車両独特の席配置。
ちなみに今回乗車した1号車3A席は、久留米方向に対して最後部車両の進行方向向け2人掛け席です。機関車から離れており、客車列車を堪能するのはある意味一番おいしい座席かもしれません。
「或る列車」を置いて先に「快速ゆふいん」が発車します。途中の夜明で対向列車と交換ですが、交換列車も遅れているようでしばらく停車することに。このため、その後も遅れを抱えたまま走ることに。
夜明駅で発生した遅延は解消されることもなく遅延したまま終点久留米駅に到着。停車中にほどなく後続の「或る列車」がやってきて博多に向けて発車していきました。
今回の「快速ゆふいん」ですが、車両そのものよりも貴重な「客車列車」の旅が楽しめることが最大の特徴ではないでしょうか。
もちろん全国各地のSLも客車列車ではあるのですが、どちらかというとイベント列車で混雑していることが多く、今回のようなガラガラの客車列車でのんびりとした旅行を楽しめるという意味では、おそらく絶滅危惧種に近い列車なのではないかと思います。
ただ、車両自体はかなりぼろぼろで、おそらく次の全検は通さずに廃車される可能性が高そうですので、廃車のアナウンスが入って乗り鉄が殺到する前の乗車をお勧めします。
なお5/21現在、夏の臨時列車のプレスリリースに「快速ゆふいん」はありませんでしたが、この列車は別途追加されることが多いので今後の情報に期待でしょうか。
(5/23の記事に続く)
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