JR四国ではパークアンドライドの一環として、小規模の有人駅を中心に「車deトレイン」を展開しています。JR四国の商品2000円以上で1日、4000円以上で2日間無料で駅近くの指定された駐車場に車を置いておけるものです。このほか、松山、高知、徳島では「パークアンドライド」として一定の金額以上のJR四国の商品を購入した客にコインパーキングの料金を割引する制度があります。
事前に電話で予約しておき、当日現地のみどりの窓口で引き換える仕組み。で、渡された駐車券がまさかの指定席券スタイルのマルス・POS券。「駐車場利用券→本券を運転席前に置いてください」と発駅、着駅表示も実にユニーク。列車名も「阿波池田駅 駐車場」となっています。無料なので金額は***円表示。禁煙マークは・・・まあ駐車場は禁煙ということにしておきましょう。
なお、JR四国では合理化のために有人駅の無人化を推進しています。無人駅では発券できないため、無人化と同時に「車deトレイン」も取りやめる傾向にあり、伊予市、高瀬、旭などでは無人駅化と同時に「車deトレイン」も終了しています。
古城のような豊稔池堰堤
自宅から車で四国入り。ホテルの駐車場において「四国まんなか千年ものがたり・そらの郷紀行」に乗車。翌日は車を阿波池田に置いて今度は「志国土佐 時代の夜明けのものがたり 立志の抄」に乗車。さらに翌日に阿波池田から車を出しました。
行きは瀬戸大橋経由で四国入りしましたが、帰路はしまなみ海道経由で帰宅を計画。阿波池田からだと川之江~今治と高速道路を走るのが早いですが、どうせならと今治までは下道を通ることに。というわけで、阿波池田から川之江までの国道192号線をドライブです。
かつて阿波池田から川之江までは2001年までJR四国がバス路線を営業していました。廃止後も瀬戸内運輸(せとうちバス)が運行していましたがこれも2010年に廃止。現在は途中の七田 – 佐野間の香川県~徳島県の県境の山越え区間を走るバスはなく、公共交通機関でのクリアはできなくなっています。
国道192号線の徳島県側は両側に山は迫っているものの、そこまでカーブや勾配は多くなくいたって快適。ですが県境手前の佐野で「雲辺寺ロープウェイ」の文字を見つけ、立ち寄ってみるかとと右折するといきなり山越え区間に入り、ヘアピンカーブや勾配のオンパレードとなります。
県境のトンネルを越えて香川県に入り、これまたカーブの連続を降りていくと「豊稔池」の看板が。近そうなので立ち寄ってみることに。
豊稔池堰堤は昭和4年竣工。中世のお城のような威風堂々な重厚な面構えが特徴で、国の重要文化財に指定されています。もちろん現役のダムであり、立ち寄ったときは豪快に放水を行っていました。竣工以降約100年近くにわたり、観音寺市周辺の水がめとしての機能をはたしています。
ダムの上部は端の一部しか入れませんが、ダムの反対側は満水近い水が蓄えられていました。
なお豊稔池堰堤への公共交通機関でのアクセスはJR観音寺駅、もしくはJR豊浜駅から観音寺市のりあいバス五郷高室線の田野々方面行きで豊稔池下車。ただし1日2便なので、田野々行きで豊稔池で下車し、田野々からの折り返し便で戻ってくるのが現実的な利用法でしょうか。後述する雲辺寺ロープウェイとのセットもありかと思います。
ロープウェイとブルートレイン
豊稔池堰堤からしばらく車を走らせて20分ほどで、雲辺寺ロープウェイの駐車場に。四国でも有数の規模を誇り、全長約2.6kmで約920mの山頂まで約7分で結びます。最高速度約36km/hの日本でも有数の高速ロープウェイで、乗車するとぐんぐん上がります。往復2200円。
車窓は観音寺市の風景のほか、瀬戸内海が見えます。この日は霞んでいて瀬戸内海もぼんやりとしか見えませんでしたが、澄んでいたら瀬戸大橋も見えるそうな。
ほどなく山頂駅に到着。
雲辺寺は山頂駅を降りて比較的すぐのところにあります。ちなみに雲辺寺ロープウェイの山頂駅は香川県なのですが、雲辺寺自体は徳島県側にあります。でも四国八十八箇所霊場としては香川県扱い(しかも1番)となっており、非常にややこしい。
自分も多分もう少ししたらお遍路さんやるのかな・・・と思いつつ参拝。
近くには公園もあり、フォトスポットとして有名な天空のブランコも
高所恐怖症の人はできるんだろうか。
ロープウェイで降りたあと、隣接する食堂うどん屋へ。本当に香川県はちょっと走ればすぐうどん屋にあたります(笑)
入った雲海亭はセルフ店ではなく一般店。ちょっと暑くなってきたので、すだちおろしぶっかけの大を選択。ここは野菜かき揚げが美味いらしいが、どっちかというと今は冷たいおろしにしたい。
やってきたのは、3玉はあるかのごとくボリュームのあるうどんにだいこんおろし、すだち、鰹節など。予想してなかった量でしたが、これはこれでありがたいのでしっかり完食。しばらく休憩して店を出ます。
ロープウェイ駐車場から少し降りたところにブルートレインが2両鎮座。これはビニールハウスうどんで有名だった岸井うどんの店主が、野ざらし状態だった阿久根駅あった寝台客車2両をひきとり、ここまで持ってきたのでした。
岸井うどんは善通寺にあったころに訪問したことがあり、その独特な店構えと肉玉が非常に印象的だったのですが、この動きにはさすがに驚きました。
車輛は開放式寝台とデュエットの2両。少なくともデュエットは四国を走ったことないはずですが、「なは」のテールマークを掲出していました。
私が訪問したときはまだ運ばれてきたばかりでまだ手付かずの状態ですが、現在は綺麗に修復されて宿泊施設として稼働しています。
さらに宿泊施設稼働と同時に岸井うどん自体もこちらに移転。ビニールハウスを建てて営業しているとか。
ただ稼働率は予想を下回っているそうです。雲辺寺ロープウェイのすぐ近くなので、お遍路さんの需要もありそうなのですが、それでもかなり厳しいのだとか。
理由はいろいろありそうなのですが、個人的な印象だけでいうと「かなり脇が甘い」のじゃないかなあ、と。確かに情熱はすごいものを感じるのですが、いざ宿泊施設としてビジネスを行おうとするといろいろ足りていない。
例えば、自分も一時興味を持ったので宿泊してみようかと連絡しようかと思ったけど、肝心の電話番号が見つからない。ようやくそれらしきものを見つけて、電話かけてみたらなんか違うところにつながったらしく、こちらから平謝り。これで一気に興味半減です。すなわち入り口が全く見えない。これって致命的です。お遍路さんを取り込もうとしても取り込めません。
ずっとこのプロジェクトをおっかけてきた人はすぐわかるのかもしれませんが、私みたいに新規で入ってきた人はどうしたらいいのかわからない。仲間うちだけでやるならともかく、広く知ってもらわないと普通はビジネスとしては成り立ちません。
さらにどちらかというと鉄分の濃い人向け施設なのに、公共交通機関のアクセスが非常に貧弱なのもかなり厳しいです。公共交通機関でのアクセスは豊稔池と同じくJR観音寺駅、もしくはJR豊浜駅から観音寺市のりあいバス五郷高室線の田野々方面行きで谷上(教育センター)バス下車徒歩30分です。鉄分の濃い人でも正直ここに来る理由がなかなか見つからないのも難点でしょう。
特に昨今はMaaSが叫ばれているのに、その気配もありません。
このブログでは珍しく厳しいことを述べましたが、これからもがんばってほしいものです。
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