前回の記事に引き続き、「SLやまぐち号」のスペシャルトレイン、今度は「SLやまぐち あすか号」です。
こちらも「SLやまぐち なにわ号」が運行された翌週の週末の2日間に運行され、C57+C56の重連で、JR西日本のお座敷列車「あすか」をけん引しました。
「あすか」は団体列車での運行が主で、「サロンカーなにわ」に比べても臨時列車で登板する機会はほとんどなく、発表されると俄然注目を集めました。自分も「あすか」乗車はこのときのみです。
ただこの年(2010年)の2月に、関西本線に「あすか」が運行されたときに撮り鉄が線路に進入して警察が逮捕する事件があり、それにもかかわらず運行するって大した度胸だな、とも思ったものです。
当然ながらグリーン券の争奪戦は熾烈を極め、自分はこんなの取れるわけないわと最初からあきらめてましたが、乗車の2日前に何気に荻窪駅の指定席券売機で見ると空席が。即座にグリーン席を押さえました。
払い戻し手数料が跳ね上がる直前の2日前というのはわりと空席が出やすいタイミングであり、今回もそのためかな?とも一瞬思ったのですが、元値950円だと2日前でも前日でも払い戻し手数料は同額のため、正直たまたまなのでしょう。
最後の和風客車
「SLやまぐち あすか号」は新山口発は、C57+C56の重連で運行されました。「あすか」は所定7両ですが、イベントカーを除いた6連で組成され、編成の前後に展望室を備えています。
客室は土足厳禁で、側廊下式の車内に畳とテーブルと座椅子。まさに宴会にうってつけのレイアウトと言えるでしょうか。窓には障子がはめ込まれていました。
編成の前後には欧風の展望室が。こちらはホテルのロビ-のような感じになっており、気分転換にはもってこいです。
このほか、控室と兼用でセミコンパートメントもありましたが、イベントカーがなかったこの日はここでグッズなどを販売する売店を営業していました。
ただ土足厳禁なのは車両間の移動が面倒ということで、案外車両間を移動する人は少なかったような気がします。
車体は明るい灰色と白をベースにしていますが、雨どいがなく、全体にのっぺりとした印象を受けます。そのせいでしょうか、汚れが目立つような気がします。(経年劣化のせいかもしれませんが。)
「SLやまぐち あすか号」は新山口駅を静かに発車しました。
沿道ではたくさんの人が。特にSL+「あすか」という組み合わせは初となるため、撮り鉄の数は過去最高に多かったと思います。ただ、直前に撮り鉄の侵入事件があったせいか警察官の数もかなり多かったような。沿線の主要な踏切にはほぼ警察官がいた気がします。
仁保では機関車の撮影タイム。ヘッドマークは「SLやまぐち」でおなじみのナベヅルをベースにした特製のものが掲げられました。「あすか」の字体が違うのは何かあるのでしょうか。
仁保から山越えして篠目、そして長門峡へ。
長門峡を発車してすぐの撮影名所付近では少なくとも100名以上の撮り鉄が集結。ここまで撮り鉄が集まったのは初めてみました(笑)
地福付近も人でいっぱい。徳佐のS字もしゃれにならない人の数です。当然周辺道路は大渋滞となり、車での移動が大変だったとか。自分は「SLやまぐち」(DLやまぐち含む)はほぼ毎年複数回乗ってますが、この日がダントツに撮り鉄が多かったように思います。
ただ乗ってるほうはというと、「サロンカーなにわ」でもそうでしたが、窓が開かないので、あまりSL乗ったで感がないのですよね。2号車で機関車からやや離れた号車ということもあって、出発時の汽笛が聞こえるのみ。こればかりは仕方ない部分ではありますが、むしろ沿線に集まった撮り鉄を眺めるほうが楽しかったり(笑)
途中で展望室に移動。「あすか」の展望室は1枚窓が大きいため、流れる景色がよくみ渡せます。ただ、なぜかここで足が痺れてしまい(お座敷に座っていたときは平気だったのに)、立ち上がることができず客室に戻ったのは津和野手前でした。
「あすか」は津和野に到着すると、SLによって一番駅舎よりの側線に押し込まれ、午後の新山口行きまで休憩となります。
その一方でSL2両は転車台で機回しを行い、新山口方を向くようにします。機回しを行うターンテーブル付近はたくさんの人でにぎわっていました。
JRで最後まで残った和風客車である「あすか」ですが、SLに牽引されたのは先にもあとにもこのとき限りで、まさにスペシャルトレインでした。
晩年は「あすか」の運行自体がレアとなりつつも比較的最近まで残っていましたが、2018年に廃車され、客車によるお座敷列車はこれでJR線上からは消滅しています。
というか「お座敷列車」という言葉自体が死語になりつつありますね。三セクでほそぼそと残ってますが、JR線で復活することはあるのでしょうか。
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