酒田駅から陸羽西線、陸羽東線を経由して鳴子温泉までの乗車券です。一見するとただの乗車券ですが、現在陸羽西線は国道工事のためバス代行輸送、陸羽東線の新庄~鳴子温泉は大雨による不通によるバス代行輸送となっています。
このため鉄道の乗車券なのに全区間バスで移動することが可能です。
なお、陸羽西線の工事は2024年度まででししたが、工事が伸び現在は2025年度までバス代行となっています。

一方、陸羽東線の新庄~鳴子温泉間はJR東日本でもトップクラスの赤字路線でもともと存廃議論がされていたのですが、そこで2024年7月の大雨でダメージを受け、現在は代行バスを走らせています。
陸羽東線、陸羽西線両方でバス代行になっていますが今後どうなるか流動的な部分もあり、特に陸羽東線新庄~鳴子温泉はこのまま鉄道廃止になるのでは、と囁かれています。
きっぷの券面はごく普通の2日間有効の乗車券です。ただ、当初上越妙高駅の指定席券売機で購入しようとしたところ、なぜか「該当の経路は購入できません」と出てきて購入できず。バス代行が入っていると、指定席券売機で発売できないルールがあるのでしょうか。
若干頭に?をつけながら、上越妙高駅のみどりの窓口で購入しました。
ただし、酒田駅の指定席券売機では購入できました。
代行バスはもちろん青春18きっぷなど、JRのフリーきっぷで乗車できます。
各駅停車バスでゆっくり移動
酒田駅前のホテルを出て、酒田駅に着くと、すでにバスが客待ち中。6時50分発の新庄行きは、数人の客を乗せて発車です。
途中余目までは羽越本線沿いを走ります。面白いのは、バスと電車が平行して運転されているところ。例えば朝6時50分発の新庄行きは余目に7時24分に余目駅に到着しますが、その後7時2分発の村上行きが追い越して余目駅に7時18分に到着します。
乗っていると途中でGV-E400形3両編成が追い抜いていきました。
それでも北余目、東酒田のバス停は駅からかなり離れており、地元住民はどうも近いほうのバス停、鉄道駅を使い分けている節が見られます。途中で見た酒田行きバスは通学生満載でした。
余目駅で通学生が下車。駅には学生がわんさかおり、駅への送迎の車がひっきりなしにやってきましたが、新庄行きには乗ってきません。7:35発の初電となる酒田行きを待っているようです。しかし7:35の初電ってなんか遅くないですかね?
余目を過ぎた段階で客は私を含めて2名に。うち1名は狩川駅で下車してしまったので、狩川からは私一人に。あれ?こんなに陸羽西線って客いなかったっけ?
このあたりから最上川が車窓を楽しませてくれます。陸羽西線にも快速「最上川」なんて列車もいましたが、今はバス代行。車も少ないため快適なバス旅です。客いませんけど。
高屋駅バス停を過ぎると信号が。そしてトンネルの開口部と思われる個所が。これが高屋トンネルなのでしょう。そのすぐ上に陸羽西線の線路が見えました。なるほど、これは列車運行できないわ。
古口で客が乗車。車内もにぎやかになってきました。古口を過ぎると国道47号バイパス(新庄古口道路)に入りますが、各駅停車便はすぐに降りて津谷駅に。
一方快速便は古口から新庄古口道路を一気に新庄駅まで向かうようで、各駅停車便が36分かかるところを26分と大きく時間短縮しています。乗り比べも面白いかもしれませんね。
新庄には定刻着。10年ぶりに訪問した陸羽西線はなんか妙に客が少なかったなあと思ったのですが、2023年度の平均通過人員(人/日) は陸羽西線(新庄~余目)は123人/日。なんというか、このまま路線ごと廃線になってしまいませんかね?
奥の細道を行く
しばし新庄駅でインターバルをとり、10時5分発鳴子温泉行き代行バスに乗車。貸し切り車だった陸羽西線とは異なり、JRバス東北の岩手ナンバーの一般路線バス車両でした。
新庄を発車すると進路を南にとりしばらくは奥羽本線沿いを並走。南新庄駅は奥羽本線と並行して設置されているものの、駅自体は陸羽東線にしかありません。
南新庄を過ぎて最上川の支流にあたる小国川を渡ると左折して再び東方向に向けて走り出します。
長沢駅あたりまでは平地が広がってますが、ほどなく山間部に。小国川沿いに陸羽東線の線路を見ながら走ることになります。
ほどなく余目からの国道47号と合流していよいよ山間部に。このあたりから「〇〇温泉」と温泉と名うった駅が増えてきます。
ただし、最上駅周辺を除き基本的に山間部で人口希薄地帯となり、これは地元住民だけではなかなか厳しいなと思うところもあります。
陸羽東線鳴子温泉~新庄間はほぼ最上駅の定期需要に支えられているようで、朝には最上駅から新庄駅に国道47号線経由でショートカットして直行する便が設定されています。
最上、そして立小路駅を過ぎると再び山間部に。
赤倉温泉駅。
10年ほど前、この駅近くの温泉宿に泊まったのはいいけど翌朝陸羽東線が大雪で運休し、宿のおかみさんに新庄駅まで送ってもらったのはいいものの、陸羽東線どころか陸羽西線、山形新幹線まで運休し、かろうじて動いていた秋田行きに乗った思い出が。
このあたり、鳴子温泉の知名度を借りて観光誘致を図っているようですが、山間部のために思うように集客ができないのが現状のようです。
中山平温泉を過ぎて峠を越えると終点の鳴子温泉です。途中で外湯を見つけましたが代行バスの場合、「代行」ゆえになかなかそういう観光施設にバス停留所に増やすといった施策が取りにくいのが厳しいところ。
先日美祢線が代行バスから鉄路の復旧を断念してBRTにすると発表されましたが、柔軟性の高いBRTの特性を生かして観光施設などにも積極的に乗り入れてもいいのではと思います。

おそらく陸羽東線の代行輸送区間も同様の話が出てくるのではないでしょうか。
峠を降りて鳴子温泉駅へ。もっとも駅前に直接入ることができず、いったん通り過ぎてから狭い温泉街の道をゆっくりと駆け上がって到着です。
バスで来ると改めて感じますが鳴子温泉は平地がほとんどなく、坂道だらけ。本当ならば街並みうろうろの予定でしたが、かなり暑くなっており断念。
おとなしく早稲田桟敷湯で温泉でのんびりすることに。
鳴子温泉は割とあっちっちの湯で、熱い湯が苦手な私としてはお湯につかっても長くは浸かれません。すぐに上がって桟敷で一息、また浸かってすぐに上がり桟敷で一息・・・を繰り返すと、汗と一緒にバス旅の疲れもどっと出てきたようで、しばらく桟敷の上で動けなくなっていました(笑)
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