錦町からの帰路は、錦町駅で入場券と、岩国までの乗車券を求めました。岩国までの乗車券は自動券売機での発売もありますが、このように硬券での販売もあります。
錦町駅発売の硬券はこの岩国までの連絡乗車券と、入場券の2種類でこれは2023年現在でも変わっていないはず。
まず、入場券ですがB型硬券と呼ばれるタイプで、おそらく観光客の記念購入目的のためか真ん中に金色っぽく「錦」の文字が入るのが特徴。
一方、岩国行きはA型硬券と呼ばれるタイプで、錦川鉄道の地紋が入ったもの。なぜ岩国だけ硬券が入るようになったのかはわかりませんが、一定の需要が見込まれると思われたからでしょうか。
こじんまりとした三セク鉄道の行く末
(11/4の記事から続く)
錦町駅の駅舎は車庫、そして錦川鉄道の本社も同居しています。
三セクでありがちな車庫兼本社の形態です。
もっとも錦川鉄道は最初から利用者の少ないところを走り、運営が厳しいことは最初からわかっていたため、鉄道だけでなく多角化を進めており、とことこトレインをはじめ、旅行業をやったり、錦帯橋の運営を管理受託したりと、主に岩国市の支援をうけながら、なんとか今まで運営をやってきていました。
しかし、それでも赤字を解消するのは至らずどんどん赤字は膨らみ、追い打ちをかけるかのようにコロナ渦で利用客が大幅に落ち込み、これらの鉄道以外の収入を入れても2億円近い大幅赤字に。
このため2023年2月、錦川鉄道の在り方について存廃も含めた協議に入ることになりました。これによって2025年以降どうするかが決定されることになっています。
よく廃線の目安とされる1キロあたりの輸送密度は250人程度。
2025年以降は沿線の高校の閉鎖が決定されて通学客が減ることも予想され、状況はかなり厳しいのではないかと思われます。
帰路の岩国行きはNT3000型2両編成。数人の客を乗せて発車しました。
既に夕方ではありますが、休日かつ旅客の流れとは反対方向のためか車内はガラガラ。
JR西日本と同タイプの転換クロスシートを装備してますが、客がいませんので4人ボックスに。錦川を眺めながら、スローな時間を楽しんでいました。
夢の痕跡
後日、錦川鉄道の錦町駅から国道187号線経由のバスで行くことができる「道の駅・むいかいち温泉」に向かいました。
錦町から六日市行きのバスに乗車した場合、「道の駅・むいかいち温泉」は終点一つ手前の蔵木口で下車したほうが近いです。終点まで乗ると10分ほど歩きます。
なお、「道の駅・むいかいち温泉」内にある「むいかいち温泉・ゆらら」には温泉施設のほか、宿泊施設もあります。
「道の駅・むいかいち温泉」は中国自動車道の六日市ICの近くにあり、車や高速バスなどで訪問が便利です。その道の駅は、元岩日北線六日市駅建設予定地で、結局鉄道は通らず道の駅になりました。
この岩日北線ですが、錦町から六日市経由して山口線日原までの路線ではありますが、六日市まではトンネルや路盤が完成されており、あとは線路や地上設備を用意すれば開通できたのですが、そこには至ることはありませんでした。(六日市~日原は未着工)
現在錦町から六日市までは、岩国市営バスが国道187号線経由で通じていますが、岩日北線はこのルートではなく、国道434号線を北上して現在の上須川河内神社近くまで行き、そこから旧カーブして六日市トンネルで島根県側に出て六日町に向かう路線だったようです。
その六日市トンネルの六日市側750mあまりがむいかいち温泉から遊歩道として整備されていました。
基本的には一直線。途中2つの橋梁を渡り、六日市トンネルの手前まで続いています。
途中でベンチなども設置されており、気軽に散策が可能。
盛り土区間、橋梁区間、そして掘り下げ区間と遊歩道としては短めながらなかなかバラエティに富んでいます。
途中で中国自動車道をアンダーパス。
錦町~六日市間はほぼ完成していたのですが、智頭急行や井原鉄道のように三セクとして完成させなかったのは、六日市側に中国自動車道があり、広島方面のバス便もあるため、あまり熱心ではなかったからではないでしょうか。
このためかわかりませんが、六日市側は岩日線の文字は見つかりませんでした。
六日市トンネル手前で遊歩道は終了。
このトンネルは全長4679mあり、流石に遊歩道として使うのは無理があるのか、閉鎖されています。
今後このトンネルを活用する方法は出てくるのでしょうか・・・?
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