「京都市内→小出→鳴門」連続乗車券

20080328

今日はやや難しい話です。

連続乗車券です。2枚のサイズが違いますが、1枚目の経路が多すぎるために横長の乗車券になったものと思います。
運賃は連続1、連続2で記載され、有効期間は連続1の有効期間と連続2の有効期間を合算した15日間となっています。

さて、このきっぷですがよく見ると変です。
京都市内発なのに、京都の途中下車印が。
しかも京都市内発なのに、山陰、福知山、加古川、山陽、東海、京都、新幹線・・・と
京都をまたもや経由するという妙な乗車券になっています。京都の途中下車印はもちろん経路途上の京都駅です。

摩訶不思議なきっぷですが、実際の経路指定は

丹波口(山陰)福知山(福知山)谷川(加古)加古川(山陽)神戸(東海道)京都(東海道新幹線)東京・・・

となっており、実際は経路は交わっていません。ただし、丹波口駅が京都市内駅で、京都駅から201キロ以上あるため、ルールによって京都市内発になってしまい、京都発で運賃計算されてしまいました。
この場合のルールは旅客営業取扱基準規程第115条にあります。

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(特定都区市内等にある駅に関連する普通旅客運賃計算方の特例)
特定都区市内にある駅を発駅とする場合で, 普通旅客運賃の計算経路が,その特定都区市内の外を経て, 再び発駅と同じ特定都区市内を通過となるときの鉄道の普通旅客運賃は, 実際乗車船経路が環状線一周となるとき又は折返しとなるときを除いて, その着駅が, 発駅に関連する特定都区市内の中心駅から, 営業キロが200kmを超えるときであっても, 規則第86条の規定を適用しないで発駅から, 実際の営業キロ又は運賃計算キロによって旅客運賃を計算することができる。

ということで、丹波口から発券できることになっています。
しかし、なぜか「できる」規定で、強制でないのが謎です。このためかどうかわかりませんが、このような矛盾するような乗車券が出てくるわけです。

さて、さすがにまずいと思ったのか、2008年4月1日の旅客営業規則の改定でこの部分にメスが入ることになりました。
旅客営業規則の86条では、特定の都市の中心駅から201キロ以上の駅については、「○○市内」(京都市内、東京都区内、横浜市内など)といった、市内駅をまとめて一駅にする制度(特定都区市内駅制度)を設けていますが、これが以下のようになります。

—-

(特定都区市内にある駅に関連する鉄道の片道普通旅客運賃の計算方)
第86条
次の各号の図に掲げる東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅、八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅、下山門駅、今宿駅、九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と、当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から片道の営業キロが200 キロメートルを超える鉄道区間内にある駅との相互間の鉄道の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する。
ただし、特定都区市内にある駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。

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今回の改正では、「ただし、~」以下が付け加えられ、今回の丹波口からの乗車券の場合は明確に特定都区市内制度からはずれることが明記されました。
ただ、マルスが今回の改正に対応しているかは不明です。今までは「単駅指定」という特殊操作によって、市内駅でなく単独駅を発券することができましたが、今回の規則改正を受けて自動的に判別するようになるんでしょうか。。。

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「「京都市内→小出→鳴門」連続乗車券」への1件のフィードバック

  1. こんばんは

    2年ほど前に、特定都区市内にある某駅で、その駅を発駅とする周遊きっぷのアプローチ券を作るときに、単駅指定にして発券してもらったことがあります。その際、最初は○○市内発でお願いしていたのですが、窓口の方曰く、それだと一旦特定都区市内エリアを出て再度そのエリアを通過する際には途中下車できない旨言われ、単駅指定にしたという次第です。

    確かに旅客営業規則第156条(3)号には「第86条及び第87条の規定によって発売した乗車券を使用する場合は、当該乗車券の券面に表示された特定都区市内又は東京山手線内にある駅」を途中下車ができる駅として除いています。字面を追えば、それが経路の途中かどうかは関係なく途中下車できないことになりますが、それでは実際問題として不便が生じることもあります。その不便の穴埋めとしての改訂なのかなと思いました。[E:chick]

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