和歌山県のJR御坊駅から出ている紀州鉄道は鉄道ファンには全長2.7kmのミニ鉄道として知られていますが、一般的には会員リゾート開発や軽井沢の貸別荘を手掛ける不動産会社のほうになるでしょうか。
もっとも不動産会社が鉄道会社の看板が欲しくて御坊臨港鉄道を買収したのは割と有名な話。
もともと廃線の危機にあった私鉄を買収しただけあってずっと赤字体質で、日本の私鉄で営業係数は常にワースト1位かその近辺ですが、スリムな経営なだけあって赤字額は紀州鉄道グループ全体に比べたらわずかで、今のところ廃止の話は出ていません。
そんな紀州鉄道ですが、JR連絡となる御坊駅を除き、全駅分の入場券が売られてみたので買ってみました。全駅と言っても御坊を除くと4駅分ですが。
ただし、きっぷの窓口があるのは紀伊御坊駅のみ。4駅分はここで購入できます。
入場券は最低運賃と同額ですが、紀州鉄道の最低運賃が120円と浮世離れしており、もうちょっと値上げして赤字減らしてもいいんじゃね?と他人事ながら心配になってきます(笑)
すべてが硬券の紀州鉄道
(9/29の記事から続く)
「くろしお26号」を御坊で降りたのはこの紀州鉄道で立ち寄るためでした。
発車まで少し時間があったのでJR御坊駅の待合室にいると、御坊市の特産品コーナーが。そんな中に紀州鉄道もしっかり入っており、マグカップやアクリルホルダーと並んで硬券の乗車券が・・・きっぷって特産品か?
御坊駅の紀州鉄道のホームはJR駅を間借りしており、JRの改札は素通りして紀州鉄道ホームに向かいます。ほどなくして1両編成の列車が到着。すぐに折り返して発車していきました。
目的地は紀伊御坊。
紀伊御坊駅は紀州鉄道唯一の有人駅。基本的に終日駅員がいてきっぷを売っていますが特に改札等は行っていません。
立派な駅舎があり、事務所・車庫も併設する紀州鉄道の中心駅です。
そんな紀州鉄道ですが自動券売機はなく、きっぷはすべて硬券。入場券もすべて硬券という今時珍しい体制です。かつては補充券もあったそうですが、補充券の対象となる区間の販売は中止し、現在窓口販売の普通乗車券、入場券はすべて硬券です。記念きっぷはもとより鉄道グッズも販売しているあたり流石私鉄。
なお、JRの駅のきっぷ売り場は基本的に鉄道グッズを売ることはありません。。。。
窓口には販売している硬券リストが。入場券と紀州鉄道内のきっぷが並んでいます。なお、このリストにはJR線の連絡乗車券は含まれていませんが、こんな掲示があるぐらい買いにくる鉄道ファンが多いのですよね。硬券の往復乗車券はあまり見ないです。
かつては硬券の連続乗車券なんていう珍品も売られていました。
このほか学門駅の記念入場券なども売られています。
紀伊御坊駅は1面1線。しかしホームは意外と広いです。全線2.7kmで、終日1両でいったりきたりしているため、列車交換という概念がありませんし、1両しか走らないので鉄道の信号も不要です(笑)
そのホームの奥に車両がちらり。
2009年まで活躍していたキハ600形です。元大分交通耶馬渓線で活躍していた車両で、1970年の廃線後紀州鉄道にやってきています。以降40年近くここで活躍していましたが2009年に引退しています。
一方、紀伊御坊駅のホームの反対側を向くと別の車両が。
手前の車両は休車扱いとなっているキテツ2。元北条鉄道の車両です。奥の車両はKR301。こちらは信楽高原鉄道からの転入です。このように地方の三セクで引退した車両を持ってきているのが紀州鉄道の特徴ですね。
紀州鉄道は全長2.7kmですが、このうちJR御坊から隣の学門駅まで1.5kmと半分以上を占め、残りの学門~紀伊御坊~市役所前~西御坊で1.2kmとなっています。これならば歩いて隣駅訪問も楽で、試しに学門駅へ。
紀伊御坊駅から徒歩5分ほどで隣の学門駅に到着。カーブしているため、紀伊御坊駅から学門駅は見えませんが、駅間距離で300mしかありません。JR東日本の15両編成の電車とほぼ同じと言ったらなんとなく通じるでしょうか。
実際、利用者はほぼ全員JR御坊方面への乗車のようで、市内でこまめに拾ってJR駅に客を送るのがこの紀州鉄道の役割なんでしょうね。
(10/3の記事に続く)
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